長編14
  • 表示切替
  • 使い方

オヤジの思い出話

ここのところ残業で帰りが遅い

1週間ほど夜の10時ごろに家に着くという生活をしている

帰ってきてS子の手料理を一人で食べている

子供たちはもう夜の9時ごろには自分の部屋にいることが多くなった

リビングにはオヤジとおふくろとS子と私だけ

オヤジはソファで酒を飲んでるかTVを見ている

S子とおふくろは後片付けなどキッチンでおしゃべりをしながらしている

よく気が合うなとこっちが感心するぐらいによくしゃべる

おふくろはS子を大変気に入っている

「S子ちゃんが来ると一気に明るくなるからね

うちは真面目人間が多すぎなんだわ

将来・・・お嫁に来てほしい子だよ」と口癖のように言っていた

結果的にお嫁に来た

おふくろの大喜びをした日は忘れない

それにF子の人見知りがひどくてなかなかお友達ができないことをおふくろは心配していた

それをS子がF子の面等をよく見てくれたのでさらにS子を信頼するようになった

「F子、S子お姉ちゃんの言うことは絶対に守るんだよ」と言いつけてきたらしい

今でもS子の言うことはちゃんと守っている

さて・・・本題に入るのだが・・・・

私の父、オヤジ・・・もうこのシリーズを読んでる方は知っていると思うが

とにかくヤンチャ!!ガキかよ、という位訳のわからない行動をしている

今はだいぶ年を取ったせいか落ち着いてきているように見える

私が小学校高学年の時にはじめて夜の商店街をF子と一緒にオヤジに連れられて

居酒屋というお店に入った

当時の商店街はすごく賑やかで酔っ払いがたくさんいた

学校から「夜の商店街を一人で出歩いてはダメ」というチラシを新学期がはじまると担任から紙をもらっていた

そのくらい、当時の商店街は治安が良くなかった

小さなやくざの事務所もあったし

チンピラも多かったな

まぁオヤジも外見はチンピラだけどね

そこの居酒屋へ入ってオヤジがいろいろと注文をしていた

そこの居酒屋のオヤジが

「○○よ(オヤジの名前)、そこにいるチビたちはあんたの子かよ?」

「そうだよ」

「えへぇ~~、そうかい、おとなしい子じゃないかい」とからかってきた

「おチビちゃん、オヤジに似なくてよかったな」

「おい!!○○(居酒屋のオヤジの名前)、どういう意味だよ」

「○○よ、あんたの小さい時のやんちゃは伝説だぞ」

「うっ!!・・・昔のことを・・・」

などと掛け合い漫才みたいな感じで周囲を笑わせてたな

今じゃ・・・居酒屋のおやっさん・・・隠居して息子が店を継いでいる

そのおやっさんの子が私と同級生

たまにその同級生が私とF子を呼んでくれた

夜は行けれなかったので学校帰りにちょくちょくお店に寄っていた

「おい!!F、こっちへ来いよ、冷蔵庫にな、お店で出すおでんが入ってるんだよ

俺な、作り方知ってるから食べちゃおうぜ」

「え・・・だって・・・お店の品物だよ、いいのかよ」

「いいんだよ、早く作ってたべちゃおうぜ、お父ちゃん、今な、仕入れに行ってるんだよ、今のうちだぜ」

などと言いながら冷蔵庫からおでんの具を出してお鍋に入れておでんを作って3人で食べた

このお店のおでんはとにかくおいしかった

今でも子供たちを連れてたまに居酒屋へ行っている

その居酒屋の子供は仁と同級生だ

居酒屋の子は少しヤンチャで勝手にお店のものを食べていると聞かされた

あぁ・・・親子だな・・と感心した

「おい・・F・・・俺のせがれがな・・店の品物を勝手に食ってるんだよな

おれが怒るとすげぇ態度で返してくるんだよな・・・どうにかならんもんかな・・」

おいおい・・・まぁ・・・仁や匠もその仲間だからな・・・

とりあえずは少し多めに勘定を渡しているけど・・・

「おまえも昔のことを思い出せよ」と答えてやった

「うっ・・・・だよな・・」とうなだれてしまった

後で知ったのだがおふくろがその勝手に食べた品物の代金を払っていたと聞いた

先代のおやっさんが珍しくお店にいたので聞かされた

「F君・・・いつも馬鹿なせがれとあそんでくれてありがとな

あいつ・・・・知らんとおもってんだろうが・・・俺はすぐにわかったさ

それをおふくろさんに愚痴でしゃべってしまったんだよな

そしたらおふくろさんの顔が真っ青になって謝ってきたんだよ

こっちが驚いたよ

相手はあの財閥のお嬢様だからな

もうびっくりしたよ

すぐに今までの食べた分の代金を払ってもらった

俺は別に要求をするために愚痴ったんじゃないけど・・・

それがせがれ・・・孫が勝手にお店のものを食べてると愚痴ってきたんだよな

俺は「お前も昔、冷蔵庫から勝手に食べてたろ!!」と一喝してやった

「あぁ・・・オヤジ、知ってたのかよ」だとさ

親子だね・・・恥ずかしいよ」

本当に親子だよ

「おい、F、最近おまえのオヤジ来ないけど元気してる?」

「元気ハツラツ・・じゃなく元気だよ」

「そっか・・・お前のおやじさんは怖かったからな

俺のオヤジも一目置いてたし

俺、見ちまったんだよな

ヤクザと大喧嘩してるところをな

一人で複数のヤクザとやりやってた

俺・・・びびっちまって小便垂れてしまったよ

すげぇな・・・と感心したよ

今でもおやっさんを見るとビビるぜ

小さい時から俺、かわいがってもらってだけど・・・そっか・・元気にしてるのならいいけど」

「オヤジよ・・・いろんなところで喧嘩沙汰を起こしてたからな

家じゃ疫病神だよ」

「おいおい・・・それは言い過ぎだぞ

この商店街はおやっさんとおふくろさんでなんとかもってるようなもんさ

今じゃ駅前の方が賑やかになってしまったしな

俺たちはおやっさんに感謝してるよ」

たしかに今では駅前のおしゃれなお店が立ち並び賑やかだ

昔の駅前はほとんど人がいなくて寂れてた

確か私が高校生の時に駅前の再開発が始まったんだよな

いまじゃオヤジは商店街の英雄だとさ

なんか・・・あほらしい

実の息子が言うのもなんだがどうみてもチンピラだよ

あの顔でガンつけられたら誰でもビビるよ

オヤジが他人なら完全に小便垂れてる

「F子ちゃんはどう東京にいるって聞いたけど」

「そうだよ」

「俺さ、F子ちゃんの写真集を買ったさ・・・すげぇ美人になったよな

でもさ・・・この写真家・・・Sじゃぁな・・・あいつの腕はこんなもんなのかな

なんかF子ちゃんがかわいそうだよ

カメラマンを代えてやれ、と言いたい

この前さ・・・SとF子ちゃんが店に来てくれたよ

実物のF子ちゃん見てさらに驚いたよ

すごく垢抜けしたな、ってね

まぁ・・・あいつは・・・Sは・・・変わってねぇな

あいつ食った分の代金を無料にしろといいやがったよ

「馬鹿垂れ」と言い返してやったさ」

「あはははは・・・まぁ・・・・」

「2日前にS子ちゃんが子供たちを連れてきてくれたよ

相変わらず明るいよなS子ちゃんは

Sと兄妹なのか不思議だよ

楓ちゃん、ますます活発になったよな

楓ちゃんがせがれに嫁いでくれるとお店が大繁盛しそうだ

Fよ・・・考えておいてくれよな」

「え・・・おいおい・・・親が勝手に決めてどうするんだよ」

「あははは、だな・・・せがれ・・・楓ちゃんが好きなんだろうけど

本人が目の前にいるとモジモジしてるんだよな」

などなど

しかし・・・オヤジよ・・・だいぶ老けたよな

オヤジの昔話をよく聞かされたな

縁側に座ってオヤジの話をよく聞いたものだ

今は縁側の渡り廊下を壊してしまったが夏になると蚊取り線香を焚いて

横一列に座ってオヤジの昔話を聞いた

スイカやアイスやジュースを飲んでオヤジの面白い話やくだらない話など聞かされた

今は縁側にあった部屋は物置になってしまった

もう1度渡り廊下を作り直そうかな

その縁側から中庭がよく見えるし

さて・・・その昔ばなしからゾッとしたのを思い出した

オヤジが小学生の時だ

いつものようにカバンを放り投げて遊びに行ってしまった

「宿題があるんだろ」と母親(祖母)が言うと

「うるせぇーー、そんなもんは俺様が認めないぜ」と訳の分からん返事をしたらしい

オヤジとつるんでたというのが先ほどの居酒屋の息子さん

酒屋の息子さん

八百屋の息子さんたちだ

この4人はとにかくヤンチャ

畑の野菜などを勝手に食うわ

店から品物をかっぱらうわ

夜になっても帰ってこないわ

と・・・・

親がどのくらい心配したか・・・本人たち気づいていたのかわからんが商店街では評判が悪かった

隣町の小学生の連中とよくケンカをしてたらしい

今でも・・・会うと・・ガンつけをしてるし・・・

ガキかよ

おふくろは中学生の時にこの町へ通うようになったとか

まさかオヤジと高校が同じになるとは夢にも思わなかったらしい

というか・・・オヤジのあの頭でなんで進学校の高校に受かったんだろう

おふくろはわかる、成績優秀で学年TOPだから

だけど・・・オヤジの偏差値では到底受からないだろうと周囲から言われていた

カンニングしたんじゃないのかと私は思ってる

おふくろは中学生の時からオヤジの評判を知っていた

「わたしは絶対にアイツとかかわりたくないと思ってたよ

不良で怖い顔だったし・・・幸いにも一度も中学生の時は同じクラスになったことはないよ

でもね・・・仲のいい子から「○○(おふくろの名前)ちゃん・・・あいつさ・・○○(おふくろの名前)ちゃんを狙っていると聞いたよ・・・気を付けた方がいいよ」と聞かされてね

ゾッとしたよ

まさか・・あいつも同じ高校にいるとはね

同じクラスになったときにアイツを見てめまいがしたよ

「なんで・・・いるんだよ・・・」

「○○ちゃん(おふくろの名前)・・アイツ、いるね・・・」と、○○さん(後のS子やS君の母親、私からすれば義理母)から言われた

「うん・・・いる・・・キモイ・・・」」とおふくろはオヤジをジロジロと見て私に思い出話をしてくれた

オヤジ・・・相当な嫌われものじゃないか

「アイツ・・・授業中に後ろの席でマージャンやタバコを吸ったり酒を飲んだりしてたんだよ

本当に迷惑

先生も何度叱ったか

それでも平気な顔をしてたよ

学園祭の打ち合わせをクラスで決めていた時にも後ろで騒いでたんだよね

私、学級委員だったから2・3回注意をしたんだけど・・・アイツ・・・無視してね

私、腹が立ってアイツの前に行って平手打ちをしたんだよ

もう周囲は完全に引いていたよ

私自身も内心「あ・・・どうしよう・・・半殺しにあうかも」と思ったよ

でもね・・アイツ・・・何も言わずに教室から出て行ったよ

あとは・・・Fも知ってる通りだよ・・・・

まさか・・・孫が・・・ね・・・縁とは不思議だね」

たしかに縁は不思議だ

そのあとはオヤジとおふくろは付き合うことになったけどね

周囲もびっくり仰天したらしい

特に義理母が一番びっくりしたらしい

オヤジ・・・はじめからおふくろを狙っていたんじゃないかよ

周りからも付き合うのをやめた方がいいよと言われてたらしい

特に義理母がすごく反対してたという

「まぁ・・・婿殿・・・今更だけど・・・私が間違ってたのよね

外見で判断しちゃだめだとわかった

○○ちゃん(おふくろの名前)が○○君(オヤジの名前)と結婚したという噂を聞いたときにびっくりしちゃったんだよね」

「義理母さん・・・外見で判断して正解です」

「婿殿・・・」

このオヤジの悪行は丸々一冊の本になるくらいありすぎるほどだ

この悪ガキ4人組

夏休みに入りますます夜更かしをしていたらしい

夜中に公園で遊んでいたら隣の町の小学生の連中が公園に来たらしい

オヤジがすぐに見つけてガンつけたらしい

あっちもガンつけをして一触触発の雰囲気になったときに

あっちのほうから提案を持ち掛けられたらしい

提案とは

「あの墓場の肝試しをしようぜ」というものだった

おいおい・・・

オヤジはあの墓場のやばさは感じていたらしい

しかし、酒屋の息子が呑気に引き受けてしまった

「おい!!勝手に決めるなよな」

「まぁいいじゃないかよ

あんな墓場何が怖いもんかよ

奴らの肝は大したことはないよ」

オヤジは内心・・・後悔していたらしい

祖父(オヤジの父親)から「あそこの墓場だけは用がない限り近寄るなよ

あそこは霊道になってるんだ

昼間ならいいが夜は絶対に行くな」と言われていたらしい

墓場の中央に地蔵様が建っている

そこにろうそくを立てる肝試しなのだ

各々両端から中央のお地蔵様まで肝試しをしようということだ

距離にして150メートルほどだ

距離はそんなに遠くはない

ただ・・・墓の建て方が迷路のようになっている

昼間はそんなに迷路であっても苦にはならないが夜は街灯がひとつもなく

真っ暗闇なのだ

懐中電灯を頼りに進むしかない

1週間後の深夜0時に墓場の入口に8人が集まった

お互いにけん制しあっていた

その当時は墓場の周囲は雑木林と畑だけでとても気持ちのいい場所ではなかったようだ

夏の蒸し暑い夜

「おい!よく来たよな、ビビッて来ないかと思ってたぜ」

「うるせぇーーそれはこっちが言うセリフだぜ」

お互いに罵り合いながら

0:15に各々両端へ行き0:30に肝試し開始だ

遠くから懐中電灯の明かりがチラチラと見えていた

「マジかよ・・・全然前が見えん・・・」

「こりゃ迷路の罠にひっかかりそうだぜ」

案の定・・・迷路の罠にかかった

なんか知らないけれど・・・中央のお地蔵様へ辿り着けない

あっちのほうも同じ現象が起きていたと後に会ったときに話をしたらしい

「おかしいな・・・もうそろそろ真ん中あたりだろ・・・」

「だよな・・・なんかさ・・同じところをうろちょろしてるみたい」

「まさかぁ・・・・」

そのまさかが現実になった

開始してから30分は経っていた

「おかしいぞ、中央へ行けれない

もう着いてもおかしくはない」

遠くから悲鳴が上がった

「出たぁーー!!!何だよ、今のはよ

うわぁーーー」と悲痛な叫びが響いていた

あっちでは完全にパニックになっていた

「おい!!あっちで悲鳴があがってるぞ

何かあったのかな?」

「だよな・・・大丈夫かな?」

しばらくするとあっちの人間が走ってきた

「でたぁーーーお化けが出たーー」と叫びながらこっちへ走ってきた

「おい、おまえらも逃げた方がいいぞ」と言いそいつは出口へ向かって走っていった

オヤジが話してるときにリビングあたりから皿が落ちて割れる音が聞こえた

「え・・・何今の音は?」とおふくろが叫んだ

「奥の方から聞こえたよ、おふくろ」

子供たちも聞こえたらしく完全にきょろきょろと顔を動かしていた

楓が突然泣き出した

「じいちゃ・・・こわいよ・・・」と言いながら泣き出した

楓の特殊能力が働いたのかも

「おうし、俺が見に行ってくるよ」とオヤジはリビングへ行ってしまった

しばらくするとオヤジが戻ってきた

「おかしいな・・・てっきり皿が落ちて割れていたと思ったけど

なにも落ちてない・・・」

「え・・でもね・・・たしかに音がしたよ」

「うん・・・聞こえたよ」と匠も同じことを言った

みんな頭を横に振って((何だろう?))という感じになった

「途中からだけど・・・・

あっちは完全にパニックになり悲鳴が続いていた

こっちも限界を超えた

「なんで中央へ着かないんだよ、おかしいだろ」

((おかしいのはおまえらだ!!!静かにしろ))

「え・・・誰?」

「俺はしゃべってないぞ」と酒屋の息子

「俺も」と八百屋の息子

一同シーンとなってしまった

もうあっちは誰も墓場からいなくなっていた

「あれれ・・・あいつら全員逃げ出したぞ

あっちで何があったんだろ?

「「お化けが出た」」といいながら走って逃げていきやがったけど

俺たちもそろそろ退散しようぜ」

「だよな・・・なんかうす気味悪い」

「もうお開きにしようぜ!!」

とオヤジが言ったときに

((おまえら!!勝手に入り込んできて謝りもしないのか!!!

みんな静かに寝てるんだぞ!!))

と大きな声が墓場の中央から聞こえた

「うわぁ!!!!出たーーー間違いないぜ!!お化けだ!!」と八百屋の息子が大声を上げた

「おい!!○○(酒屋の息子の名前)後ろ!!!なんか白いものがこっちに来てるぞ!!!」

えっと酒屋の息子が振り返った時に

「うわっ!!!!お化け!!!出たーーー」とわめいで一人で勝手に墓場から出て行ってしまった

後3人もその白いものを見てパニックになってしまった

各々一目散に逃げだした

一応・・・居酒屋の前に集合することに決めておいたから時間差で4人が集まってきた

すると、遠くのほうでこちらを伺ってるような人影が見えた

「あいつらかな?」

「そのような気がする」

するとその人影が近づいてきた

「お前ら無事か?」

やはりあいつらだ

「おうよ、おまえら肝が小せえな!先に逃げ出すとはよ」とオヤジがいちゃもんをつけた

「まぁな・・・こっちはよ、ひでぇめにあったぞ

時間が来るまでべちゃくちゃしゃべってたんだよ

そしたらな

((おまえら!静かにしろ))

と聞こえてきたわけよ

もちろん4人ともだれもそんな言葉を発してない」

「おい・・・そういえばよ、おまえらあと一人の奴はどこだよ?」

「え!?・・・・あれ・・・○○、いないぞ、どこいった?」

「ほんとだ、あいつがいないぞ」

あっちの人間たちがざわつきはじめた

「一人で家に帰ったのかな?」

「わからん」

「もう1度あの墓場へみんなと一緒に行く?」

「ええええーーー俺は嫌だぞ!!冗談じゃねーや」

「あいつ、足が遅いからな・・・お化けに捕まったかもしれん」

「ありえる・・・どうしよう」

するとお店のシャッターが開いた

「誰だ!もう深夜だぞ静かにしろよ」と居酒屋のおやじが怒鳴ってきた

「お・・おまえらか・・・ここで何してる?」

「父ちゃん・・・えらいことになったよ」と居酒屋の息子が今にも泣きそうな顔になっていた

「どうした?」

とあっちの一人が居酒屋の親父に詳細に話をした

「おまえら!!!なんでこった!おまえらの親から聞かされてるだろ

「深夜にあの墓場に近寄るな」とな

とりあえず、おまえら店の中にいろ

今からお前らのうちへ電話をかけてやるからな

それと警察にも電話をしなくちゃな」

大変な騒ぎになってしまった

警察は来るわ

自警団や消防団などあの墓場での少年の捜索はするわ

親たちが慌てて子供たちを迎えに来るわ

「とにかくすごかったぜ、あはははは」

とオヤジは軽くしゃべっているけど

話の内容を聞いてて「こりゃ・・・あかんぞ」と思った

トトトトト

と2階から走る足音が聞こえてきた

「え・・・今、上の階から足音が聞こえたよ」とおふくろがびっくりした顔で言った

「確かに聞こえたよ、ばっちゃ」と匠も聞こえたようだ

「泥棒かもしれん、みんなここにいるんだぞ」と言い

オヤジは2階へ行ってしまった

たしかに玄関のカギと勝手口などはカギをかけていなかった

しばらくするとオヤジが怪訝そうな顔をして戻ってきた

「誰もいないぜ、おかしいよな・・・部屋ものぞいたが誰もいなかった」

「でも、走る足音が聞こえたよ、じいちゃ」と匠が不思議そうな顔で言った

「それでオヤジよ、その子はどうなった?」と私は聞いた

「あぁ・・・結局な行方不明だよ

ただな・・・真ん中にあるだろ・・・お地蔵がよ

そこにななぜかそいつのズボンが落ちてたんだよな

みんな不思議がってたな

でもよ・・・・俺は・・・恐らくお化けに食べられたかそういう世界へ引きずり込まれたんじゃないかと思ってる

まぁ・・・どちらにしろ・・・2度とあそこでの肝ためしはしないほうがいいな・・・

なんかしらんが得体のしれないものの集まり場みたいな感じだな

昼間と夜とでは雰囲気が全然違う

今でもそうだがあの墓場付近に行くと背筋がゾクッとするぜ

どちらにしろ近寄らないほうがいいぞ、特に匠、仁よ」

「じいちゃ・・・わかったよ、俺、近寄らない」

「俺もだ・・・」

と匠と仁はオヤジの話を聞いてマジでびびっていた

オヤジの昔話や下らない話・・・・思い出す・・・

今でも時折・・・子供たちに話してるようだけど

葵と楓がマジ顔になって聞いている

私はオヤジの性格を知ってるので話半分で聞いてるけどな

でも・・・あの時の思い出話の時に聞こえた足音ははっきりと聞こえた

結局・・・途中で話を打ち切って全員仏間に集まって一夜を過ごした

あの足音って・・・・まさかねぇ・・・あの子だったのかな?

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ