短編1
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エアコン

今日はやけに暑い。

寝苦しくて目をさますと、エアコンをつけている筈なのに部屋の中は妙にムンムンとしていた。

おかしい。暗がりの中、手元のリモコンを手繰り寄せ確認する。しっかり冷房、25度設定になっている。

このエアコンは前の住人が置いていってくれたものなので、型は相当古い。

ついに壊れたか?と部屋の電気をつけたら、風の吹き出し口から、大量の長い黒髪が垂れ下がっていた。

俺は頭にきて、それを掴み、思い切り引きちぎってやった。その瞬間、奥の方から「いてっ!!」と、いう声がした気がしたが、多分、空耳だろう。半分寝ぼけてるし…

引きちぎった髪を窓から外に放りなげたら、夜空にはたくさんの星たちが瞬いていて、心地よい爽やかな夜風が部屋の中に吹き込んできた。

ごうん、ごうん、と変な音がするので、下を見てみると、エアコンの室外機のすぐ隣りに誰か立っていた。目を凝らすと、なんとなく頭頂部の少しハゲた、若い女の人のように見えた。

「…コロスゾ…」

そんな声を聞いた気もしたが、多分空耳だろう。一応まだ寝ぼけてるし。

俺はエアコンのスイッチを切り、窓を開けたまま、深い眠りについた。

どうか怖い夢を見ませんように。おやすみなさい。

Concrete
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