中編2
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お面の目的

それは夏祭りの夜だった。

とある兄弟が、屋台を見て回っていた。

弟は小さなハッピに身を包み、大いにはしゃいでいる様子だった。

そんな弟が急に奇妙なことを言い出した。

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ヘンなおとがきこえる_。

兄も耳を澄ますと、

「_、

_、

_・・・」

本当だ。

それは音というよりも人の声のようだった。

誰かが同じ言葉をずっとつぶやいているような・・・。

祭りの喧騒の中でも聞こえてくる「つぶやき声」に、二人はすっかり気を取られてしまった。

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「_i、

_i、

_i・・・」

歩くごとに声の輪郭がはっきりしてくる。

発信源に近づいているのだ。

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二人は声に合わせてゆっくり左を向いていく。

そこは人気のない通りへ続く曲がり角。

その通りの奥にぽつんと立っている電柱。

その電柱に吊り下げられた一枚の「お面」。

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のっぺりとした白い顔に、

カッターをスーっと引いたような口。

そして子供がクレヨンで塗ったくったような、

黒一色の雑な目。

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明らかにお面屋にも置いていないようなシロモノだった。

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そんなモノが暗い通りの奥から、二人をぬーっと見つめている。

アレはハッキリと意思を持ってこちらを見つめている。

本能的にそう感じて、二人はしばらく動けなかった。

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「み、

み、

み・・・」

例の声が今までにないほど明瞭にきこえる。

兄は直感した。

あのお面こそが、声の発信源だと。

そして、決してかかわってはいけないものだと。

兄は弟の手を引き、さっさとその場から離れた。

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早足に自宅へ向かう二人。

「_、

_、

_・・・」

気のせいだろうか、またぼそぼそとつぶやく声が聞こえる。

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「_bo、

_bo、

_bo・・・」

気のせいじゃない。

二人の間に戦慄が走る。

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「おぼ、

おぼ、

おぼ_」

アイツが近くにいる___!

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「おぼ、

おぼ、

おぼ_」

さっきとは違うことをつぶやいているようだ。

兄は弟を怖がらせないように、冷静に振舞った。

アイツは何が目的なんだ・・・。

兄「み・・・、おぼ・・・」

兄はつぶやき声の意味を推測する。

兄「___!!」

その意味を理解するや、兄は弟を抱えて駆け出した。

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家まで駆け抜けた道のどこかで、兄は一瞬だけ視界の端に例のお面をとらえた。

お面は表情ひとつ変えずにぼそぼそとつぶやき続けていたという。

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