長編11
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占いと未来

皆さんは占いを信じますか?

私は完全に占いは詐欺の一種だと感じています

人間が未来を知りえるはずがありえませんからね

さて・・・・S子の占い好きには私は困っている

特に楓は私と同じで占いを信じていません

たまに楓がS子に文句を言ってる場面をよく見かけます

「ママ!!占いなんで嘘だから信じちゃダメだよ!!」

「だってさ・・・楓ちゃん・・・昨日の占いは当たったんだぞ

この雑誌の占いはよく当たるんだぞ・・・嘘とは思えないんだぞ」

「ママ!!!単に当たっただけだよ・・・本当に未来が見えるなら宝くじを買えば大金持ちになるじゃん、だれも占い師で宝くじを買って金持ちになった人いないじゃん」

「おっちーー!!占い師は自分のことを占ってはダメだと聞いたんだぞ」

「ママ!!それは単に当たらないからそう言ってるだけだよ」

「おっちーー・・・・そうかな・・・」

全然楓が言ってることに対して理解していない様子

それを見ていて私も苦笑い

会社の帰りにふと商店街のラーメンを食べたくなり寄り道をした

まぁ・・・相変わらず・・・人が少ない・・・・

夜の9時過ぎもあるかもしれないけど・・・・

ラーメン屋のオヤジさんと久しぶりに話をした

ラーメンを食べ終えて・・・ふと商店街のはずれに目を向けると・・・小さな店が開いていた、よくみると占いの店のようだ

まぁ・・少し暇だしからかってやろうかとおもいそのお店へ入った

まぁ雰囲気は占いのお店そのもの

いかにも、という感じ

中に入ると3人の客が待っていた

えへぇ・・・流行ってるんだ・・と内心思った

一人の客が私に話しかけてきた

「ここの占いのばあちゃんよく当たるんだよ・・・私これで4回ほど来てるけどすべて当たってるんだよ、すごいでしょ!1回目は・・・2回目は・・・3回目は・・・はじめは信じていなかったけれどこうも当たってるからね・・・今日はどういうことを言われるか楽しみ」

「えへぇ・・・そうですか」と適当に私は相槌をうっていた

私の番になった

ドアを開けて中へ入った

いろいろなグッズが置いてありまさにという感じだ

目の前に老婆が座っていた

年のころは70歳前後のような髪の毛が真っ白だった

私と目が合った時に老婆の顔が一瞬びっくりしたように感じだ

老婆がいきなり私の生年月日を言ってきた

「昭和○○年の〇月〇日の生まれですわね」

「え!?・・・そうです・・・」

(当たってる)

「そして・・・家族は奥さんとお子さんが4人ですね・・・ああぁ・・それとあなたのご両親もいますわね」

「ええ・・はい・・・」

(当たってる)

なんだよ・・・この老婆は・・・俺の顔を見ただけでわかるのか?

「え~~あなた・・・明日の夜に・・そうね・・・家のそばのドブに落ちますね・・・

娘さんかな・・・2人・・・あぁ・・もう一人・・・あなたの奥さんですかね・・・3人とも・・・大笑いをしているのが見えますよ・・・

あなた・・・明日の夜は少し気を付けてくださいね・・・なにかの拍子にドブに落ちますわね」

「はぁ・・・ドブに落ちるんですか?なんで?」

「そう見えたんですよ・・・理由はわからないけど・・・」

おいおい!!なんだよ、そりゃ

からかわれたのは俺かい

「あっ、そう!!!」と言い私は少し不機嫌な顔をしてお金を払いお店を出た

お金を払うときに老婆が小さな声で「「パパ・・・気を・・」」と聞こえたような気がした

気のせいかな・・・

しかし・・・これが・・・

次の日

珍しく残業がなく早く帰宅できた

すっかりあの占いの老婆のことを忘れていた

S子と娘2人

商店街の中華店で食事をした

食事を終えて店を出た

ふとあの占いのお店を見た

明かりが点いていなかった

今日は休みなのかな

私が先に歩いてS子と娘2人はあとからついてきた

家に近づいたときに私は大きな石を踏んでバランスを崩してドブに片足が落ちた

「イタァーー」と叫んでしまった

慌ててS子と娘が寄ってきた

「おっちーー、パパ、大丈夫?」

「あぁぁ・・・石につまづいたよ」

完全に片足がドブにはまり膝下まで濡れてしまった

それを見て3人はクスクスと笑い出した

S子はさらに大笑いをした

「なにかおかしいんだよ」

「おっちーー、あのね、パパ・・・ドブに落ちるときの恰好が・・・ぎゃはははは!!

「ママ!笑いすぎ!!」と娘2人も笑い出した

私は不機嫌になった

「あぁぁ・・・・当たった!!!」

思い出した

あの占いの老婆が言ったとおりになった

「おっちーー!何か当たったんだぞ?パパ?」

「いや・・・あのさ・・・昨日なあの商店街にある占いのお店のところに行ったんだよ

そしたら「ドブに落ちるよ」と言われたんだよ

さらにな「大笑いされる」って・・・」

「え!うそ!すべて当たってるよ、パパ」

「そうなんだよ・・・自分自身びっくりしてる」

「おっちーー!当たってるんだぞ!その店を教えてほしいんだぞ」

私は昨日のことをS子に話をした

後日

どうやらそのお店はお昼には開いていないらしく夜の間だけ占いをしてるようだ

S子はとても残念がっていた

いやぁ・・・まさかの大当たり・・・占いのことに関して少しだけ信じるようになった

ただ・・・その占いのお店の老婆は誰なのか・・老婆の名前を商店街の人たちは知らないという

おふくろも初耳だと言っていた

普通は商店街の会長に挨拶をしに来るからわかるのだがその老婆はあいさつもなしに営業をしてるようだった

私は少し気になるようになりたまにお店のそばを通るようになった

中を見るとお客待ちがいた

なかなかの盛況ぶり

((すげぇな・・・))と内心思いながら帰宅をしていた

あれから1か月後かな・・・私にとっていや私の家族とは・・・未来とは・・・残酷だと知らされたよ・・・

その日の夕方だった

残業がなく早く帰宅をした

全員が揃っての夕食の時間だった

いつもながらの賑やかさ

ドンドンと玄関を叩く音がした

「パパ!!開けてーー早く!!」と聞こえてきた

一同びっくり!!

楓が慌てて玄関へ行き戸を開けた

「ギャァーーー」と楓の悲鳴が上がった

私はあわてて玄関へ行った

そこには老婆が倒れていた

そう、例の占い師の老婆だ

私はその老婆を抱えた

その時に私の耳元で「パパ・・・会いたかったよ・・うれしい」と小声で話しかけてきた

私は「えっ」と思った

とりあえずリビングまで老婆を抱えてソファに寝かせた

少し息が荒い様子だ

葵がお水を持ってきて老婆の口に少しづつ飲ませた

だいぶ落ち着いてきた感じだ

「あっ!!パパ、私、お友達の家で宿題をするんだった!すっかり忘れてた

行ってくるね」と楓は宿題の入ったバッグをもって慌てて出て行った

老婆が起き上がり

「あぁぁ・・・すいませんねぇ・・・ご迷惑をかけて・・・」

どうやらなにか用があって歩いていたらしい

途中で心臓に発作が起きてなんとか近くの家に助けをこうためにドアをノックしたとのこと

偶然にも私の家だったのだ

老婆は部屋中を見てため息をついた

「ありがとね・・・葵ちゃん・・・いつも私を支えてくれてね」

「え・・ばあちゃん・・なんであたちの名前を知ってるの?」

「いや・・・そのぉ・・・」

老婆はあわてて口を濁した

小さな声で

「懐かしいねぇ・・・本当に久しぶりだねぇ・・・ばっちゃんやじっちゃん・・パパやママもいる・・・仁兄ちゃんや匠兄ちゃんもいる・・・葵も・・・」とその瞳から涙を流しだした

「え・・・どうかしましたの?」とおふくろはびっくりした顔で老婆に聞いた

「いや・・・そのぉ・・・昔を思い出したの・・私も大家族に囲まれていたから・・・

私も結婚をして子供にも恵まれて・・・でもぉ・・・あの戦争のせいで・・・私一人だけになってしまった・・・」

「そうでしたかぁ・・・あの戦争ではたくさんの人が家族を失いましたからね」

「いやぁ・・・ええ・・・そうですね」

「あぁ・・・長居をしましたのぉ・・・そろそろ私は帰ります・・・でわ・・」と

言いながらすこしよろけはしていたが家から出て行った

わたしは玄関まで送った

その時に老婆から「パパ・・・本当にありがとう・・・本当に私は幸せでした・・・

あなたの子供で良かった・・・・・暇なときに来てほしい」と老婆から手紙をもらった

私はその手紙をポケットに押し込んだ

私は後悔をした

早くその手紙を見ればよかった

後悔しても遅いよね・・・

「パパ・・」と言われてその時はこの老婆はすこし痴呆症があるのかと思っていた

リビングへ戻った

その老婆のことで話をしていた

特に葵は興奮気味に話をしていた

「なんで・・・あのばっちゃ・・・私の名前を知ってたんだろう、不思議なんだぞ」

「おっちーー、私たちの名前を知ってたんだぞ」

「あぁ・・・あれが例の占いの人だよ」と私は話に割り込んだ

「ええ!!あのばあちゃんが占いの人だったの、パパ

おっちーー!すごいんだぞ、全部当たってるんだぞ」

1時間ほどで楓が帰ってきた

全員揃った

葵が楓にさっきあったことをべらべらと話をしていた

さて・・・と・・・私は少し落ち着くために中庭に行った

コーヒーを飲みながら空を見ていた

ふと・・・ポッケに手を入れた

手紙が出てきた

手紙にはその老婆のことが書いてあった

どうやらその老婆の家族のことや老婆の人生が書いてあった

最後の文章に・・・私は目を疑った・・・

「そんな・・・馬鹿な・・・そんなはずはない・・・」と私の目から涙があふれ出した

((楓だったのかぁ・・・・))

たしかにこの筆跡は楓のものだ

私は急に胸騒ぎがしだした

仏間に行きオヤジを叩き起こした

「おい!!!起きろ!オヤジ!!」

「うっせーな!今何時だとおもってやがる、しばくぞ」

「しばくのはあとでしてくれ、とにかく行くぞ」

「心臓病の薬をもって俺についてこい!」

「おい!!どうした?」

「例の老婆な・・・いいや、早くいくぞ」

私は一刻も早く老婆に会わないと行けないと感じた

オヤジは何が起きてるのか理解していないらしくブツブツと文句を言っていた

ボロ車にオヤジを乗せ手紙に書いてあった老婆の住所まで車を飛ばした

住所は例の占いのお店だった

お店のほうは開いていないらしく

裏に入口があり戸を叩いた

「すいませーーん」と大声を出しながら戸を叩いた

あかりがついて老婆が顔を出した

「ちっ!いまさっきのババァじゃねーかよ、F!おまえ趣味が悪いぞ!!」

「大きな声を出すな、オヤジ!」

「パパ・・・本当に来てくれた!!ありがとう」

「パパ!?おい!!おまえらどういう関係なんだよ」

「うるさい、オヤジ、黙れよ」

老婆に案内されて部屋へ入った

部屋はこじんまりとした部屋だった

だいぶ弱っている様子だ

たまに咳も出ていた

「オヤジ、例の心臓病の薬を楓に渡してくれ」

「え?・・・カエデちゃん!?・・このババァの名前はカエデちゃんと言うんかい、おまえらはどんな関係なんだよ」

オヤジは楓に一粒の薬をあげた

「楓・・・心臓病の薬だからな・・」

「うん・・・パパ・・・ありがとう・・・いつも私を見守ってくれてた・・・じっちゃも・・」

「おいおい!!こんなババァに「じっちゃ」と言われたくないぞ」

「おい・・・オヤジ・・・よく見てみろよ・・・幼いころの特徴は残ってるから」

私はオヤジに老婆の顔をよくみてみろと言った

オヤジは老婆をジロジロと見た

オヤジの顔の表情が変わった

「おい・・・まさか・・・嘘だろ・・・F!!・・・まさか!!!」

「そのまさかだよ、オヤジ」

確かに老婆の顔はシワが多かった

だけど美人の顔だった

とくに少し吊り上がった目は変わっていなかった

「まさか・・・楓ちゃんだったのかよ・・・」

「じっちゃ・・・久しぶり・・・会いたかったよ・・・」

とオヤジにやさしく語りかけた

オヤジの目から涙が流れ出した

老婆の楓は少しづつ自分自身の話を話し出した

どうやら未来では世界戦争が起きたらしい

老婆の家に爆弾が落ちて老婆は気を失ったようだ

気を失っていたときに幼いころの夢を見ていたらしい

そしてオハルちゃんやオアキちゃんが現れて楓自身の未来を教えたらしい

気づいたらこの部屋にいたとか

外に出てびっくり

昔の商店街だった

占いの店だったから占い師として生活をはじめたようだ

そして・・・あの日に私に会ったのだ

その日はお店が閉まってから一人で大泣きをした

「パパに会いたい、ママに会いたい、葵に会いたい、兄ちゃんたちに会いたい

じっちゃばっちゃに会いたい」と

それであの日に私たちに会いたくて歩いてきたのだ

だけど心臓の発作が起きてなんとか家に辿りついたのだ

玄関の戸が開いて幼い時の自分を見て倒れたらしい・・・

いろいろと老婆の楓は話をしてくれた

オヤジは涙を流しながら聞いていた

私もだ

「パパ・・・じっちゃ・・・本当にありがとう・・・もうそろそろ・・・私・・・逝かなくちゃ・・・オハルちゃんやオアキちゃん・・・みんなが待ってるから・・・」

とソファの横になって最後のお別れの言葉を小さな声で言った

息もだいぶ荒くなっていた

「楓ちゃん・・・逝かないでくれ・・・じっちゃんはここにいるぞ」

「楓!!!・・・まだ早いぞ!!!」

「パパ・・・じっちゃ・・・ありが・・と・・・」

最後の言葉だった

楓は目をつぶり最後の感謝の言葉を言って静かに永遠に眠った

私の娘が眠った

オヤジは楓の手を握り大粒の涙を流した

私も膝をついて最愛の娘の手を握った

オヤジにはこのことは棺桶まで行くまで誰にもしゃべるなと言っておいた

すぐに私は和尚様に連絡をした

次の日に

和尚様はびっくりして慌てて駆けつけてくれた

私は会社を休んだ

葬儀は私とオヤジと和尚様で行った

もちろんお墓は和尚様のお寺だ

小さなお墓を作ってもらった

楓の荼毘に付した骨壺を見て涙が出てきた

オヤジも和尚様も同様に泣いた

和尚様は大事に老婆の楓の骨壺を抱えてお寺へ帰って行った

翌日・・・

目が覚め

リビングへ行った

みんな朝食をしていた

いつもの朝の様子

楓と葵はいつもながらおしゃべりをして食事をしていた

私は楓を見つめていた

いつもの楓だ

老婆の楓の顔が・・・オーバーラップをした

オヤジも・・・楓を見つめていた

私の目に涙が溢れだした

それに気づいた楓が

「パパ!!お腹痛いの?お薬持ってくるね」

「いや・・いいよ。楓・・・お腹は痛くはないからね」

「でも・・・パパ、泣いてるじゃん!!」

楓が私のそばに寄って涙を拭いてくれた

「パパ・・・大丈夫?」

と私の手を握ってくれた

老婆の楓の手を握ったときの感触と同じだ

今日は仮病で会社を休もう・・・・

私は3日間ほど心の中が空白になっていた

老婆の楓の死

しかし・・・幼い楓は生きている・・・

なんという矛盾

神様の残酷な仕打ちとしか思えない

Concrete
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