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夏の終わり 後篇

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“焼き殺される”とはどういうことか?

“撃ち殺される”とは?

頸動脈を切られて“失血死”するとは?

異常な組織が異常な暴力を振るっている。

国家単位でさえ暗殺のバレている国がある。

命の価値には限りがある。

日本円の20円より安い命が確かに価値づけられていて、

そこに人権は存在しない。

政治とは基本的に暴力機構なのだ。

自由民権運動が一時的に成功したのは、

それによって新たな経済体系が予感されたからに他ならない。

私はずうっと考えていた。

命とは何か考えていた。

生きているとは何か、

考え続けていた。

嘘みたいに苦しかった。

人が何より悲しいことは

ふたりが独りになることで

人が何より嬉しいことは

ふたりで一つになれること。

私があなたをどんなに愛しているか、

すべて伝える前に旅立ってしまった。

私があたなをどんなに愛しているか、

すべて伝えることが間に合わなかった……

生きているとはどういうことか、

あなたの死から学んだのでした。

生きているとはどういうことか、

あなたとの時間が教えてくれたのでした。

すべての虚無と、

あらゆる絶望、

果てしない寂しさと、

終わりの見えない暗闇。

それらすべてを今も照らしてくれる、

あなたとの愛が“いのち”なのでした。

それらすべてを抱き締めてくれた、

あなたとの未来が“いのち”なのでした。

夏の終わり、

あなたを失ったあの夕暮れ、

これから百年の夏の楽しみを私は失い、

そこから百万年の秋の美しさが私から欠落し、

それから百億年の冬の喜びを私は見落として、

それがどんなに寂しかったか。

それがどんなに苦しかったか。

どんなに……

どんなにあなたを、

今も想い続けているのか。

人が何より悲しいことは

ふたりが独りになることで

人が何より嬉しいことは

ふたりで一つになれること。

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切なくも美しいお話でした。。。🌸

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