中編3
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スーパーマーケット三題

2004年N県の巨大量販店『P』において発生し、地元紙にも掲載された事象。

《決算セール大安売り》と題字されたバルーンを掲げて数時間で、店舗を訪れた買い物客から複数の問い合わせがあった。

《あまりにも不気味である》と。

バルーンは合計3つ存在したのだが、それ自体に不備はない。

ただ、中央のバルーンの《影》のみが、なぜか人間が首を吊られているような形状になり地面を揺らめいていたのだ。

当初は日照とバルーンの破損の具合によるものと判断した店舗側だったが、午後五時を回っても巨大な首吊り人間が地面に揺れているのを確認するにつけ予備のバルーンを掲示。

しかし、どうしても影の形状は変わることはなく翌日には撤去を決定し、該当期間内は2つのバルーンのみが掲示されることになった。

過去にも同量販店では同じバルーンによる広告が為されていたが、不可解なことにその回のみの現象であったという。

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2007年K県のスーパーマーケット『Y』にて発生した事象。

『Y』では近隣地区の小学校から生徒の描いた絵を募集し、一定期間掲示していた。

その年《ぼくたちわたしたちのみらいのすがた》と題した作品群のなかに、おぞましい絵があるのを買い物客の主婦が報告する。

それは、同じ命日の墓石群が荒野とおぼしき大地に並んでいる絵だった。

作者名の記載はなし。画材は一般的なクレヨン及び色鉛筆。CG処理などが困難なシワの多い模造紙に描かれており、遠近法が用いられた図案に墓場が延々と連なっていた。

同店の担当者は掲示した記憶がなく、人の目を盗み作者あるいはその関係者が直接掲示したと思われる。

およそ子供の技術とはかけ離れていることから悪質なイタズラと判断されたのだが、二年後《しょうらいのゆめ》と題した掲示にふたたびこの墓石群の絵が紛れ込んだ。

やはり従業員が掲示したものではなく、前の事件を鑑みて新たに設置されたカメラでもコンマ数秒単位で映像が飛んだ瞬間に紛れ込んでしまい、掲示する何者かを捉えることが出来なかった。

事情を知る従業員が確認したところ、おそらく絵は前回のコピーではなく、新たに描かれたものであったという。

それ以来、子供たちの未来に関するテーマは御法度となり《好きな動物》などの当たり障りないテーマで現在も絵の掲示は続いている。

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2014年T県の複合ショッピングモールで報告された事象。

《ブキミな迷子が走り回ってる》

との報告が複数の買い物客から寄せられた。

従業員が該当箇所を探すも発見できず一時保留となるが、迷子の報告は止むことはない。

カメラでも確認は出来ず、日が変わっても、およそ互いに関係性はないと思われる買い物客から一日に三件以上は報告があったという。

大勢の従業員や警備員は一度も目撃できず、買い物客のみが見掛ける迷子。

その姿は福助人形のような巨大な頭をした、同じ顔の双子の男児だという。

まるで身体が結合しているかのようにピッタリと身体を寄せあい、二人三脚のように足並み揃え、異様なスピードで店内を走り回ってるのだそうだ。

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