短編2
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夜中の洗濯

事故物件とされる、三階建てアパート302号室のエピソード。

301号室にサラリーマンが住んでいた。出勤が午前6時頃と非常に早い。

そのため1分でも長く睡眠時間を確保したかったのだが、ある日から騒音被害に悩まされる。深夜1時あたりになると、

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ヴィーン、ガタガタガタガタ……

という、騒音と軽い揺れを感じるようになった。

音と振動から、どうやら隣人が洗濯機を回しているようだった。古いのか、動作がかなりぎこちない。床や壁が薄いと評判の物件だったので、最初は仕方ないと思っていたが、2日、3日と不安定な騒音が続くうち、だんだんとストレスを感じるようになった。

あんまり迷惑なので、管理人に相談しようかと思っていた矢先、302号室の住人が逮捕された。

隣人は女性だったのだが、交際していた男とトラブルになり、不可抗力でその男を殺めてしまった。

怖くなった女性は、知人に相談したが、この相談相手がまずかった。

暴力団関係者の知人は、女性にとんでもない提案をする。

「消息不明にしてしまえばいい」

作業は手分けして行われた。

男の死体を切り分け、さらに分解、おおまかに骨とそれ以外の2種類に分ける。

そして、かさばるため骨側は知人が、それ以外は女性が処理をすることになった。

困った女性は、夜な夜な家庭用フードプロセッサーで、骨以外を液状になるまで砕き、排水溝に流す、という行為を繰り返していた。

サラリーマンが感じたのは、洗濯機ではなく、一杯まで詰め込まれたフードプロセッサーの音と振動だった。

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「あと半分くらいだったのに」

逮捕後の聴取で、女性はこのように述べたらしい。事件の全貌が明らかになるが早いか、サラリーマンがこのアパートを離れたのは言うまでもない。

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