短編1
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オバケ辞めました

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最近、オバケは売れなくなった。

人が本物を忘れたからだ…

彼らが好きなのは“規格を満たしたオバケ”さ

何百年も前からやってた奴だって廃業した。

不景気さ

俺だって辞めたい訳じゃないさ

最近じゃ量産型が流行らしい

もとともオバケは実体がないから

言えたことではないけどさ

無機質で絵に描いた人間の注文通りの

それこそベタなオバケさ

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人は忘れちまったのさ…

自然への信仰と

真っ黒な夜道への恐怖を

今、あいつらが信仰してるのは科学さ

神でも仏でもねぇ

科学で安物を大量生産しては

大量に廃棄している

それが“豊かさ”だそうだ

オバケだからわからねぇや

けど、そうやって大量にあの世に送ってるのは知ってる。

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皆は知らないと思うけど

神は死んだのさ

殺されたのさ

人の出す煙と科学によって

煙は天を、白雲を裂いて神の姿を隠し

科学は神を粒子レベルで分解して

存在しないことにしたのさ

信仰を失った神は死に瀕した

流れる時は遂に神に死を与えた

神は死の間際にあたって

死ぬことを拒否しなかったし

人を殺すことなど考えなかったのだ

自分の手によって人を滅ぼさないことを

神は博愛としたのだ

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ただ、神は知っている

shake

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神の恵みなくして人は生きれない

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