短編1
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彼にはそう聞こえた。

 彼は東京に住んでいた。

 彼はまだ学生だった。

 かなり時給のいいアルバイトを見付け、彼はそこで働けることになった。

 社長が倉庫まで案内してくれた。

「これがうちの商品だ」

 社長が箱の数を数え始めた。

「一万、二万、三万、四万、五万。全部で五万個だ」

 彼にはそう聞こえた。

 箱は五つだけだった。小型冷蔵庫が入るくらいの大きさだった。

「一つの箱に一万個も入っているんですか?」

 彼はまだこの会社が何を扱っているのかを知らなかった。

「違う」

 社長は言った。

「中身は女の子だ。今日は珍しく男の子の注文が幾つかあってね。君はその一人目だ」

 言いながら社長は懐からハンカチを取り出すと、彼の口に押し当てた。ハンカチにはクロロホルムが染み込まされていた。

「な、何を!」

 彼は叫んだ。が、急速に意識が遠のき始めた。意識の残る僅かな時間に彼は思った。

 ──そ、そうか……。きっと僕らが数えられるときには、一チ……ン……

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小夜子さん。
読んで下さって、ありがとうございます。
昨日、家に電話がありました。
「十万個送った」
と。
そう聞こえました。
楽しみ!

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キヨハさん。
読んで下さって、ありがとうございます。

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りこ-2さん。
読んで下さって、ありがとうございます。

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鏡水花さん。
読んで下さって、ありがとうございます。
本人の救いようのない嫌らしさが作品に反映されていないのであろうか? それとも類なき変態が嫌らしさを中和してしまっているのであろうか?
見てから読むか。読んでから見るか。(←古っ!)

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