中編3
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ぐるぐる回るやつの話

 怪談の内容は聞いた話だ。

 怪談の前にこれを聞くことになったいきさつを話したい。

 ひょんなことから野郎と飯を食いに行くことになった。長時間居座るつもりなどなかったが食後のコーヒーなど飲んで雑談する内にずいぶん時間が経った。

 話しているうちに話題が怪談になった。

 持ち掛けてきたのは向こうから。これは珍しいパターンである。

 相手の話を聞くうちにけっこうな怪談好きだと分かりテンションが上がる。

 調子に乗って怖い話をサイトに投稿したと話してしまった。

 それがどんな内容なのかも含めて。

 すると、ある話の時だけ反応があった。

 自分の知っている話と少し似ているというのだ。

 以下、その話である。

 怪異の体験者はその人の上司で彼から聞いた話だという。

 上司は二ケ月間出張になった。

 滞在場所はホテルではなかった。勤務先の場所の関係で近くにある貸し家を会社が借りてそこに住むことになった。家を見た印象は少し古いが別に普通だったという。

 ところが住み始めると異変が起きた。

 ラップ音がする。彼はそれをラップ音だと捉えてはいなかったが聞いた話をまとめるとそういうことになる。

 貸し家の間取りを聞くのを失念していたがとにかく自分のいない部屋で物音がする。

 上司はそれを家鳴りや気のせいだと思っていたそうだ。

 一度、部屋を出た直後に部屋内にある食器がしまってある戸棚が明らかにガラガラと開いた音がした時は驚いたらしいが。しかし彼は基本的に幽霊は信じない性質である。

 音ぐらいなら実害がないし永住するわけではないので構わないと思っていた。

 のだが、住み始めて二週間ぐらい経った頃。

 上司は晩酌をする。いつも近くのスーパーで酒とつまみを買いテレビを見ながら一人で飲むそうだ。その日も酒を飲んでからいい気分でいつも通り床に就いた。

いつの間にか眠ってしまった。

 突然目が覚めた。と思ったら金縛り

 人生初の金縛りに驚いていると

 何やら声が聞こえる。

 内容は分からないがとにかく誰が何かを低い声で抑揚なく話している。それはざわめきのようでもあり、一人が話しているようにも集団が話しているようにも聞こえる。

 声に集中していると、どうやら声の主は上司の布団の周りをぐるぐると周りながら何かを話していることに気がついた。

 それに気付いた上司はゾッとした。

 幽霊は信じていないし馬鹿にしていたがこうなるとさすがに怖い。

 ありがたいことに起きてから周りはほとんど見なかったので、何かがいたとしても何も見ていない

 上司はこのまま朝になってくれと祈りながら

 固く目をとじた。 

 が回るものはそれに気が付いたかのように急に勢いよく動き出した。

 ざわめきは消え、獣のような息づかいが聞こえてくる。

 回るものは輪をだんだんと狭めてくる。

 もうだめだ。と泣きそうになった時、急に耳元に暖かい息が吹きかかり、心臓が飛び跳ねた。

 と、同時に体が動くようになったという。

 体を起こし、跳ね起きる前、一瞬だけ生臭いような臭いが鼻についた。が立ち上がると臭いは消えていたという。

 部屋の様子に変化はなく、先ほどのことは夢なのかとも思ったがあまりにリアルだったので怖くなりその日は寝ることはできなかったそうだ。

 それから上司は会社に直訴し住むところを変えてもらったそうである。

 この話がどの話に似ているのかは投稿したお話を読んで確認してみてください笑

 

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