長編9
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戦争孤児

ピンポーン!!

「あれれ・・誰か来たよ、パパ!あたちが出るからね」と葵が走って玄関へ行った

「こんばんわ・・・お嬢さん・・・あのぉ・・・お父さんかお母さんはいるかな?」

「うん!いるよ!パパーーー、お客なんだぞ!!」

葵に呼ばれて私は玄関へ行った

「はじめまして、今、会長をお呼びしますね」

「会長?」

初めて見る男だ

しばらくすると玄関に初老の男が入ってきた

「お久しぶりです!Fさん・・・」

「え!?・・」

誰だ?この人は俺は知らないぞ

するとまた今度は初老の女性が入ってきた

「お久しぶりです・・・Fさん・・・兄さん、やっと私たち会えたんだよね」

「そうだよ・・・長かった・・」

いったい何のことだ・・・

ますますわからん

「Fさん・・・私たち兄妹を覚えてますか?・・・」

「え・・・ぜんぜん・・・あなた方は誰ですか?」

「やはり・・・時間が経ちすぎた・・・無理もないですね・・・」

「やはり・・・兄さん・・・」

すると奥からおふくろがのぞきに来た

「おやおや・・・お客さんかい・・・」

「あ!!お母さんだ、懐かしい・・・」

「ホント・・・兄さん・・目の前にお母さんがいる・・・私・・・」

「泣くなよ・・・俺も涙が出てきたよ」

「え・・・あなた方はいったい誰なんだい?」

「お母さん・・私たちを覚えてませんか?」と初老の男はおふくろに聞いてきた

「え・・・」とおふくろはこの2人の顔をじっと見つめていた

「え・・・まさか・・・そんなぁ・・・あなたたちだったの・・・一体どこへ行ってたの?

探したんだよ・・・黙ってどこかへ行くなんで・・・」とおふくろの目に涙があふれていた

「F!!とにかくこの2人をリビングへ案内して」と私に言ってきた

「え!はい!どうぞーー」と私はびっくりして2人をリビングへ案内をした

「兄さん・・・懐かしい・・・あ!!!巧兄ちゃん!仁兄ちゃん!!楓姉ちゃんがいるよ」

「お兄ちゃんたちだ・・・夢じゃないよな」

「え・・・パパ、この人たち誰?」と巧はびっくりした顔で私に聞いてきた

「パパにもわからん」

「あんたたち・・よく顔を見てごらん・・・」

私たちはじっくりと見た・・・・

「あぁぁ・・・そんなぁ・・・パパ・・・うそだろ!!!」と巧が声を上げた

私もよく見た

あぁぁ・・・わかった・・・

「そんなぁ・・・ありえない・・・」と私はつぶやいてしまった

「お兄ちゃんたち、お姉ちゃんたち、やっとわかってくれた・・・私たちあの時の兄と妹です・・・あの時は本当にお世話になりました・・・特にお父さん、お母さんには本当に迷惑ばかりかけてすいませんでした」

「何を言ってるのよ・・・」とおふくろは完全に泣いていた

半年前のことだ

その日は台風が来ていた

激しい風と雨で家が壊れるかと思ってた

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った

おチビの葵がさっさと玄関へ行きドアを開けた

「パパ!!!大変!!早く来るんだぞーー」と葵の叫び声が聞こえてきた

私はあわてて玄関へ行った

そこには2人の子供がいた

びしょ濡れで立っていた

安心したのか2人とも倒れてしまった

私はすぐにオヤジを呼んだ

「おい!!オヤジ、玄関へ来い!!」と大きな声でオヤジを呼んだ

「おう!!なんだ?どうした?」と言いながら走ってきた

「おわっ!!なんじゃ・・・子供たちじゃねーかよ・・・こりゃ・・あかん、すぐに仏間へ運ぼう」

すぐに仏間へ2人を運んだ

すごい熱だった

「俺、今からあのヤブ医者の所へ行って連れてくるぜ」

「おいおい!オヤジ、外は嵐だぞ!!無理だろ」と言ったのだが・・・

すごい熱を出していた

おふくろを呼んですぐに氷まくらを作ってもらい2人の子供の頭の下に敷いた

「こりゃ・・・すごい熱だね・・・こんな嵐に外に出るなんで・・・一体どこの子だろうね・・・」と心配そうに2人を見ていた

しばらくするとオヤジが帰ってきた

「おーーい!!ヤブ医者を連れてきたぞ」

「おやっさん・・・ヤブ医者じゃないよ・・・ひどいな」

「とにかくこの2人を診てやってくれ」

主治医は2人を診てすぐに熱さましの注射を打った

「こりゃ・・・今夜が峠だよ・・・熱が40度もある・・・それにひどい栄養失調だよ・・・信じられん・・・今どき・・栄養失調なんで・・・」

たしかにこの2人の体つきは痩せていた

男の子は楓と同じ年頃のように思えた

女の子は葵と同じくらいかなと思う

それにしても服装もボロボロ

一体どういうことだ?

まるで・・・どこかで火事でもあったような感じだ

「どこかで火事でもあったのかな・・・服がボロボロだよ・・・体もやせ細ってるし・・・」

「そうだわね・・・服も見たことない服を着てるし・・・この体のガリガリは何だろうね・・」

((キヨコ・・・早く逃げろ!!爆弾がおちてくるぞ・・・))

男の子の口が開いた

なにかうなされてる感じだ

「そうとう・・・うなされてるね・・何の夢を見てるんだろう」

「キヨコーーー!!!」と叫んで男の子が目を覚ました

「爆弾が落ちるーーー」と叫んで頭を抱えた

「え・・・ここはどこ?・・・」とキョロキョロと見まわしていた

「気づいたね・・・良かった・・・」

「どうやら峠は越えたみたい、一応、熱さましの薬を置いてきますね」と言いながら主治医は帰って行った

「キヨコはどこ?」とあたりを見まわした

男の子は隣に寝ていた女の子を見て安心したのかまた横になった

「キヨコがいた・・・よかった・・・」

あとは女の子が目を覚ませばいいけど・・・

「あんたたち・・・もう夜も遅いから寝な・・・私が見ているからね」とおふくろがこの子たちの面等を見ることになった

私も会社があるしもうすこしいたかったかやむを得ない

「おーーい、俺だぞ、帰ってきてやったぞ」と酔っ払いのオヤジが帰ってきた

「じいちゃんだ!!」

と言いながら葵が玄関へ走って行った

オヤジがリビングへ入ってきた

「おや・・・なんでぇいーー、なんで、じじいとばばあがいるんだよ」

「おい!!オヤジ!!!失礼だろ!!」

「お父さん、お久しぶりです」

「お父さん!!!」

「はぁ・・?じじぃ、ばばぁに「お父さん」と呼ばれる筋合いはねぇぞ!!」

「あの時と同じだ、元気なお父さんだ、よかった」

「はい・・・兄さん・・・」

オヤジはソファに座ってこっちを見ていた

「おい!!F!!なんだ、こいつらはよ?」

「オヤジ!!よく見ろよ!!」

「はぁ・・・じじぃばばぁをみてもなぁ・・・・え・・・うそだろ・・・」とオヤジの顔が真顔になった

「酔いが一気に覚めたぞ・・・おまえたちどこへ行ってた?探したんだぞ・・・おい!」

「すいませんでした・・・お父さん・・・私たちも何か起きたのかわからなかったんです」

オヤジの目に涙が溢れていた

なんという・・・再会だ・・・たった半年なのに・・・もう子供ではなく初老になっていた

しかし・・・面影がしっかりと残っていた

((兄ちゃん、どこ?))

女の子も気づいたようだ

「お兄ちゃん!!どこなの?」と言いながら目を覚ました

キョロキョロと見まわした

「キヨコ・・・こっちにいるよ」

「兄ちゃん!!!」

「よかった・・・2人とも目を覚ましてくれたわね・・・

しっかりと良く寝るんだよ」

「うん・・・」

「はい・・・」

朝になりおふくろは2人をリビングへ連れてきた

「さぁ・・・お座り・・・お腹すいてるでしょ?」

「うん・・・」

おふくろはご飯とみそ汁を作って食べさせた

「遠慮なくお食べなさいな」

「兄ちゃん・・・白いご飯だよ・・・」

「白いご飯だ・・・夢を見てるのかな・・・」

「え・・・普通のご飯だよ・・・」とおふくろはびっくりした

よほどお腹がすいていたのか何杯もお代わりをした

「S子ちゃん、お風呂の用意をしておいてね」とS子にお風呂の用意をするように言った

「はい!ママ!!お風呂の準備をするんだぞ」と言いながらS子はお風呂場へ行った

食事が終わりお風呂へ入れる時だ

「おっちーー!!ママ・・・この子たちの体・・・ガリガリなんだぞ・・・」

「たしかに・・・これはひどいわね・・・虐待を受けてたのかしらね・・・」

お風呂が済み男の子には仁の寝間着を着させ女の子には楓の寝間着を着させた

「わぁ・・兄ちゃん!!寝間着だよ、かわいい!!」

「キヨコ、よかったね、俺のはかっこいいんだぞ」

すごく喜んでいた

この風景・・・どこかで見た・・・自然と涙が出てきた

オハル・オアキちゃんの時と同じだ

「ぼうや・・・お家はどこなの?おばさんが一緒に連れて行ってあげるからね」

「おうち・・・爆弾が落ちて・・・父ちゃんや母ちゃんが死んだ・・・キヨコと2人だけになった・・・」

「兄ちゃん・・・」

「え!?・・・爆弾???・・・」

おふくろは理解できなかった

俺もだ、今どき爆弾が落ちるわけがない

「ぼうやの名前と生まれた年をおばさんにおしえておくれ」

「うん・・・俺はシンジ、こいつが妹のキヨコ

生まれたのは昭和11年の6月だよ

キヨコは昭和13年の11月だよ・・・」

「え!?・・・昭和11年・・・13年だって・・・」

おふくろはびっくりした顔になった

ありえんだろ・・・戦前の子だよ

おふくろはあわてて洗濯場へ行った

初老になったシンジは今までの出来事を話してくれた

つまり・・また・・元の時代へ戻っていたのだ

2人の兄と妹は戦後の混乱を生き抜いてきた

兄妹は働いて自分の会社を作った

私はその会社の名前を聞いて驚愕した

私よりもおふくろのほうがびっくりしてた

「まさか・・・あの会社の・・・あなたたちだったのね・・・知らなかった・・・」

おふくろが総帥として財閥の長となったときに財閥の経営は危機に瀕していた

あちこち資金集めに走り回っていた

新聞にも大きく報道されて財閥の解体寸前だった

銀行から差し押さえの期日が1か月前に迫ったときにおふくろの財閥に手を伸ばしてくれた会社があった

それがこの兄妹の会社というより兄妹の財閥からの資金援助だった

この資金援助のおかげでおふくろの財閥は危機を乗り切った

すぐにおふくろはお礼のために兄妹の財閥本部へお礼のあいさつをしようとアポを取ったのだがなぜか拒否されたらしい

それがおふくろとしては心残りでなんとかお礼をしたいと思っていた

「おかあさんが何度も私たちに会いに来ていたのはわかっていました・・・あの当時は私たちは本当に忙しくて世界中を飛び回っていたんです

本当にごめんなさい・・・お母さん・・・

あの時・・・新聞を見てすぐに「お母さん」だとわかったんです

キヨコと話し合い「恩を返す時が来た」と思い勝手ながら資金援助しました」

「おかあさん・・・もっと早く会いたかった・・・」

「そうだったの・・・本当にありがとう・・・あの資金援助がなければ私たちは・・・」

とおふくろは大泣きをした

「お母さん、泣かないで・・・」

おふくろが戻ってきた

「F・・・この子たちの言ってることは本当だよ・・・まさか・・・」

「そっか・・・もう帰るところがないんだ・・・おふくろ・・・どうする?」

「そうだね・・・里親が見つかるまでウチで預かったほうがいいわね」

即決だった

新しく2人の家族が増えた

まずはこの2人の兄妹の健康状態を検査をさせた

重度の栄養失調と診断された

とにかくご飯を食べさせた

1か月後にはなんとか平均的な体重になった

兄は小学校へ通わせた

妹のほうは葵と一緒に家で留守番をしていた

葵は大喜びをしていた

いろいろとおしゃべりや庭いじりなどをしていた

家族が増えてますます賑やかになった

F子やS君はオハル・オアキの件で慣れているから別に驚いてはいなかったな

それから2か月後にこの兄妹が消えてしまった

私たちは探し回った

結局見つけられずに諦めてしまった

まさか・・・こんな形で再会するとは・・・・

「葵ちゃん・・・本当に遊んでくれてありがとう」

「うん!!!」

「お兄さん、お姉さん、本当にありがとう!!」

この2人の兄妹の話を聞いていたらもう夜中になっていた

「それでは・・・お父さん、お母さん、あえてうれしかった

・・私たちは帰ります」

「こちらこそ・・・気を付けてね」とおふくろは頭を下げた

それから・・・1年後にこの2人の兄妹は天国へ行ってしまった

訃報を聞きおふくろ・オヤジはその場で座り込んでしまった

短い間だったけど有意義な時間を共有できた

とても不思議な出来事だった

Concrete
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