短編2
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下衆

「ねぇ?私の事、見えてるんでしょ?」

俺の顔、数センチ先でそいつはいう。

「ああ…確かに見えてる…。でも…。」

そいつと俺が出会ってからもう2年半。

気づかない振りをして約数ヶ月ってとこ…

出会った当初は、甲斐甲斐しく俺に尽くしてくれる

優しいいい女だった

それがさ…

付き合いが長くなっていくうちに女って変わっていくもんだよな…

多分、これを読んでくれてる、そこのアンタも経験あるだろ?

やれなにしてた?だのさ

電話出なかったら出なかったで、何処で何してる?

だとかさ…?

そう…正直な話、うんざりしてたわけさ。

で?どうしてこんなことになったかって?

聞いてくれるのか?俺の話を?

少し長くなるがいいのか?

ハハ…こんなところでしか話せない

誰も信じてくれない話を始めるが

アンタなら信じてくれそうだから話してみるわ

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そう…あの日は今日みたいな土砂降りの雨の日だった。

窓を叩く雨の音が煩くてイライラしてた。

ふと携帯の画面を見るとチカチカと点滅。

「またか…」

携帯を見ると、あいつからの山のような着信。

その携帯を枕元に放り投げ、俺はいつの間にかねむっちまった。

「大事な話があるの」

あいつが俺に言うんだ。

「何?」

そうそう…。そこで俺は…?

あいつに何を言ったんだったけ?…

「ドンドンドンドンドン」

目が覚めると誰かが俺の部屋のドアを凄い勢いで叩いていた。

「なんだ夢か…」

重い腰を上げ、狂ったようにドアを叩いてる主の顔を拝みに行った。

「おまえ、今まで何してたんだよ?」

「何って寝てたよ…。一体、何の用?こんな時間に?」

チラッと俺の部屋の時計に目をやると、人が訪ねて来るような時間じゃない事に気づいて言った。

「そんなこと言ってる場合じゃねぇ!来いよ!」

と、何故だか分からないまま着の身着のまま、外に連れ出された。

「何処に連れてく気だよ?」

「いいからもう黙ってろ!」

何度も右へ左へと動くワイパー。

雨は激しさを増し、前も見えてるのかわからないような車に乗らされ…しまいにゃ何故キレてるのか分からない男に何処へ連れてかれるのか分からないまま時間は過ぎていった。

「あのね…私…実は…」

「なんだよ?勿体ぶらずに、早く言えよ?」

「あの…ね………」

聞こえねぇよ?大きな声で言えよ!!!

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「着いたぞ!早く降りろ!」

空が白みかかった頃にどうやら目的地に着いたらしい。

雨も止みふと空を見ると、どこか懐かしい匂いがした。

つづく

Concrete
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