中編3
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死にたい人が会う人

出会い系で人と出会うのは簡単になった。

そんな出会い系で出会った彼との話。

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彼はイケメンでとても頭がよくて、身長も高く、会話も楽しい。

連絡のやり取りもマメで、感じもよく、すぐに会う日程が決まった。

初めて彼と待ち合わせして、彼に会った瞬間。すぐに好きになりそうだった。

相性も良く、定期的にホテルで会う関係が半年ほど続いた。

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でも彼に合ったあといつも暗い感情に落ちる。

遊ばれているからだろうか?

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ある日いつもどおりホテルで待ち合わせして、一通りのことが済ますと、彼の背中に黒い顔が見えることに気づく。

あー、やっぱり憑いているんだなって思う。遊んでる人には大抵憑いている。

私ではなく彼の方を睨むその顔は怨みで支配されていた。

生霊だろうか。

彼はいつも楽しそうでヘラヘラしていて疲れないのだろうか…

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「肩重くない?」

「パソコン作業だから肩凝るよー。」

その返事は、睨まれてることを知らないようだ。

「結構遊んでるでしょ?」

「ん?遊んでないよ。」

「女の子と。」

「そんなことないよ。縛られのが嫌いなだけ。」

きっとかなり遊んでいる。

ずっと睨まれているのに疲れを知らないのはきっと麻痺してしまっている。

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彼は気づかずこの怨みを持っていたら自分ではない自分の大切なモノや人に危害が加わる。

「肩に憑いてるよ。」

「何が?」

「人が。」

「は?え?…何?」

彼は動揺するかと思ったら驚くほど冷静な態度をみせる。

こう言われるのをわかっていたように。

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「みえる人?俺見えないよ。」

「すごい睨んでるけど…」

「ふーん。そーなんだ。」

彼は明らかに興味なさそうに返事する。

「で?どーしたいの?」

彼が冷たい目線で質問してくる。

「どーもしないけど…」

返答に困ってしまった。そんなことを言っても彼に自分はどうしてほしいかわからなかった。

ただの身体だけの付き合いだし…

生霊が憑いていても自分が祓えるわけでもない。

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回答に困っていると

彼はクスっと笑い

「それよりちひろちゃん。死にたいでしょ?」

私の名前を呼ぶと笑顔で彼が聞いてきた。

ゾクっと鳥肌がたつ。

「え?なんで?」

「俺、死にたい人の心が見えるの。」

また再度ゾクっとする。

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たしかに離婚して仕事もなく、こんな身体だけの男と繋がり死にたい感情がなかったわけではないけど…

彼は笑顔でいる。

その表情がまた不気味な感じがする。

「そ、そんなことないよ?」

「大丈夫。俺殺すの上手いから。」

彼は笑顔のまま首に手を回す。

不気味にニコリと笑い、暴れる彼女が動かなくなるまで笑顔で過ごす。

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-今朝のニュースです。

池袋のホテルで、30歳の女性の変死体がみつかりました。

首にしめられた跡があり、ホテルに防犯カメラはなく周辺の防犯カメラの解析をしています。

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