短編1
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風呂に関する短い話 六

幸生さんの自宅近所にある銭湯は、脱衣所に注意書の貼り紙がされている。

《お手回りのものは必ず持参、購入してください。他の利用者様の忘れ物、開封ずみの残置物などはけっして利用なさらぬようお願い致します》

店主がケチで言っているわけではない。

一年ほど前から、石鹸に異物を混ぜて固め、置いていくいたずらが絶えないのだ。

幸生さんの利用時に起きているだけでも

《魚の目玉》《針》《虫の死骸》

などがあった。

女性用の浴場でも頻繁に起きているらしい。少なくとも男女一人ずつ、その迷惑行為に一年以上こだわり続けている人間が利用者の中に居るということだ。

警察には相談ずみだが、風呂場に監視カメラを設置するわけにもいかないらしく、店主は頭を抱えている。

Concrete
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