アパートでの隣人トラブル

中編4
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アパートでの隣人トラブル

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大学の同級生、Yから聞いた話である。

以下、Yが語った事である

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〈1日目〉

大学進学の為に引っ越して、半年。

バイトが終わって深夜に帰宅した俺は、部屋でまったりとテレビを見ていた。

夜中の2時過ぎだっただろうか。

『ドン』

shake

壁がドンと叩かれた。

半年にして、初めての経験だ。

テレビの音、うるさかったかな?

俺は首を傾げて、テレビのボリュームを小さくした。

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〈2日目〉

今日もバイトだった。

疲れた!

風呂上がりにビールを飲みながら、テレビを見ていた。

やはり、深夜2時過ぎの事。

『ドン』

shake

『ドン』

shake

今度は2回壁をドンドンされた。

昨日よりテレビの音は小さいのにな。

神経質な人が住んでいるのか?

新しく引っ越して来たのかな?

明日からは、ヘッドホンで音を聞こう。

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〈3日目〉

今日はバイトが休みだった。

だが、レポートの提出が明日だったのを、すっかり忘れていた

慌てて取りかかる。

今日は徹夜だ。。。

最近はめっきり昼夜逆転の生活だな。

朝早くの講義がなくて、助かった。

音楽をお気に入りの高級ヘッドホンで聞きながら、パソコンに向かう。

コーヒーを煎れようと立ち上がる。

時間はやはり、深夜2時過ぎ。

今度は壁ドンではなかった。

『ドン ドン』

shake

shake

玄関のドアが叩かれた。

恐る恐る玄関へ行き、ドアののぞき窓を覗く。

魚眼レンズ越しの歪んだ廊下に、見覚えのない中年男性が立っていた。

もしかして、隣の人?

文句を言いにきたのか?

ただ、深夜だから対応する気になれず、居留守を使う事にした。

しばらくすると、男は居なくなった。

かなりの恐怖体験だった。

神経質というより、病的だ。

続くようならば、不動産屋に相談すべきだろうか。

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〈4日目〉

今日は警戒していた。

これ以上に壁ドンやノックが続くなら、不動産屋に言おう!

証拠も録音するつもりでいた。

深夜2時過ぎ。

きた!!

『ピンポーン』

sound:16

俺はビクっとした。

気配を殺し、ドアの覗き窓を見る。

すると

そこには有名な出前の店の兄ちゃんがいた。

確か、朝の6時まで頼めたんだっけ?

意外に冷静な自分がいた。

『ちわー。出前です』

兄ちゃんは言った。

俺は頼んだ覚えはないが、とりあえずドアを開けた。

『Yさんですか?ご注文の××です!』

兄ちゃんの言った注文主は確かに自分だ。

これも隣人の嫌がらせか?

ここで揉めても仕方ないので、金を払い商品を受け取る。

一人前で助かった。

小腹もすいていたので、食った。

金は払ったんだから、当然だ。

美味かったから、許してやってもいいか。

領収書は貰ったので、後で隣人に請求しよう。

お腹がいっぱいになったので、寝るとする。

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〈5日目〉

その日の夕方、不動産会社に連絡をした。

時間が遅かったからか、その日は担当が来れないらしい。

翌日来てくれると言うことで、ひとまず安心。

 

その日は早めに就寝したせいか、隣人からの嫌がらせはなかった。

ただ、寝入りばな、微かに壁を叩く音が聞こえた気がした。

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〈6日目〉

夕方に、不動産屋の担当の人が来た。

隣の部屋へと一緒に行った。

『ピンポーン』

sound:16

インターホンを鳴らすが、応答はなかった。

不動産屋が念のためにドアノブを回すと、開いた。

「Aさん!居ますかー?」

呼び掛けても返事は無い。

ドアを開けた途端とても臭かった為、嫌な予感がした。

自分達で部屋の中は確認せず、不動産屋と相談して、まずは警察に連絡した。

しばらくして、警察官がやってきた。

事情を説明する。

俺たちは外で待機し、警察官が隣人の部屋を調べる事となった。

しばらくして、何人か警察官が追加でやって来た。 

一気に騒がしくなった。 

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結論から言うと隣人は死んでいた。

どうやら縊死のようだ。

風呂場で亡くなっていたらしい。

死後一週間ほど経過していた。

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〈後日談〉

警察で色々と事情を聞かれた。

勿論、自殺の可能性が高いということで、直ぐに解放された。

亡くなっていた人の身元確認の為、写真を見せられた。

死体ではなく、生前の写真だった。

間違いなく、あの日にドアの前にいた中年男だった。

彼は5年程前から、隣室に住んでいたそうだ。

引っ越してから半年ほどになるが、顔を合わせた事がなかった。

死後一週間ということは、初めて壁ドンされた日には、亡くなっていた事になる。

一体どうやって、死人が嫌がらせをしたのか?

そこは、警察でも問題点となっているらしいが。

そして、不可解な事がもう一つあった。

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〈後日談2〉

隣人は日記を残していたらしい。

亡くなる5日前から、おかしな事が書かれていたそうだ。

以下がその抜粋である。

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(●月●日)

隣から、バタバタと走る音がする。

うるさい。

(●月●日)

隣から、子供の泣き声がする。

最近よく聞く、児童虐待か?

(●月●日)

子供が謝る声がする。

ごめんなさいと、しきりに叫んでいる。

女のヒステリックな叫び声も時々する。

夜中だぞ。

通報すべきか?

(●月●日)

壁に穴がある事に今日、気づいた。

そこから目が覗いていた。

充血した目だ。

ヒステリックに叫んでいた女の目?

気持ち悪いから、穴を塞いだ。

(●月●日)

ずっとみられている

にげられない

おれはしぬんだ 

あいつはくるっている

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最後の日記は震える文字で、ページは所々破れていたそうだ。

しかも、ひらがなだけで書かれていたらしい。

俺は

子供の声や、女の声なんて知らない

Aさんは角部屋で、隣は俺だけ。

勿論、俺の部屋の壁に、穴など空いていない。

…一体、何を聞いていたのだろうか。

そして、何を見ていたのだろうか?

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Yはその後すぐに引っ越したたらしい。

そして、そのアパートは特に事故物件との告知もなかったそうだ。

いったいそこで何があったのだろう?

end.

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