中編3
  • 表示切替
  • 使い方

空を射る翼

wallpaper:5056

今は昔、『溜池Now』というネット番組が存在した。

バカリズムと中川翔子がMCを務め、基本的にはサブカル系の特集が多いのだけれど、

心霊スポットロケや百物語の放送回もとても楽しかった。

中でも印象深いのは「都市伝説サミット」と題されたスタジオ収録、

島田秀平の話が衝撃的に怖くて、

以来、彼のファンになってしまった。

nextpage

2階に続く階段が13段のアパートの201号室に住んではいけない、

霊が部屋に集まって連れて行かれるから、

という筋書きで、

気になったので番組を観た後に部屋を出て確認してみると、

当時住んでいた建物の階段は14段で、数えながら震えました。

nextpage

他の語り手で面白かったのは『となりのトトロ』の都市伝説で、

あの映画の後半でサツキとメイから影が消えている、

つまり実はメイは田んぼで溺死していて、サツキは死神としてのネコバスに運ばれてしまう、というもの。

狭山事件がモデルとして引き合いに出されたり(5月の犯行なので皐月とMay)、

眉唾だけど、確かに宮崎駿作品は広く解釈の出来るものが多いので夢が広がる。

nextpage

影の無いアニメというと真っ先に思い浮かぶのが『サザエさん』。

あんまり気にする人もいないだろうけど、どういう方針なのか影が描かれていません。

原作の4コマは味のある画風で戦後文化も垣間見えて興味深く、

69年のアニメ初回ではフネが波平の頭のあの一本の毛を鋏で切ろうと追いかけるシーンがあったりして、

まだ長谷川町子の香りが残っていた。

nextpage

版権の関係でサザエさんはソフト化が非常に困難な状況になっている。

あれほどの国民的アニメであるにも関わらず、ツタヤにサザエさんのDVDは一本も置かれていない。

ちなみに初期のカツオの声優は大山のぶ代だったのですよ。

んがぐぐ。

nextpage

Netflixやhuluなど、

今では動画配信サービスがオリジナルで映画を創ってしまうほどの大躍進を遂げていて、

ユーチューブやニコ生、ツイキャスその他諸々のように素人が自宅から生中継できる時代になった。

ネットをさまよっていると人が死ぬ映像などもごく当たり前に検索に当たる。

nextpage

最近少し驚いたのは、ライフルで自分の頭部を吹き飛ばす海外の動画。

20代くらいの白人男性の生配信らしいのだけれど、

何やら落ち着いて話していたかと思うと無表情で腕を伸ばし銃口をこめかみに当て、撃った。

頭蓋の上半分が綺麗に飛び散って、鼻から下だけが残っていた。

nextpage

「死ぬこたぁ無ぇだろ」という、自殺へのいつもの感想だ。

私はほんとうに死にたかった時期があるので、

逆説かもしれないけれど、

べつに死ぬ必要が無いならば生きていれば良いと考えている。

nextpage

「死にたい」という欲求と「死ぬしかない」という認識は別つべきもの。

シェイクスピアのto be or not to be.

の設問に誤りがあると仮定するなら、

べつに思いのままに生きなければならないという掟は生命に無いのだ。

がんじがらめ、しがらみの底、懊悩の沼、哀しみの煉獄の内であれ、

それすらも人間の自由の範疇で、

nextpage

「死にたい」ならば「死にたい」と念じ続けるしかなくて、

そこから逃れるにはよっぽどの運が無ければ難しい。

けれどもきっと、価値がある。

死にたい心に価値がある。

nextpage

幸福が空を射る翼なら、

絶望は拠って詠む大地なのだ。

nextpage

……あ、眠い。

夜勤明けなのでまた今度!

Normal
コメント怖い
6
9
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

安定の肩コリ節。
堪能させていただきました。
読んでいて楽しい!

「死にたい心に価値がある。」すごい言葉ですな。
肩コリ節の真骨頂。
まだまだ聞きたい威力のある徒然草。

もっと色々なお話聞かせてください~(^^)ノシ

返信
表示
ネタバレ注意
返信

ちなみに波平は都下禿頭(とくとう)会の会員です。
ハゲを集めた団体の理事を務めていました。
へぇボタンもらえるように今後も都市伝説などを集めます!

返信
表示
ネタバレ注意
返信