中編3
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神社前の小道

お父さんが言ってた

最近夜に外を歩いているとヘンなおばあさんに必ず会うんだって

ガシャ、キー、がしゃん、っておんぼろの自転車に乗りながら

どこからともなく現れるんだって言ってた

でもどこから来るのか、全然分からないんだって

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僕、そのおばあさんに会っちゃったかもしれない

最近、学校が休みになることが多くて

お母さんからはあんまり外に出てちゃいけないって言われる

外に出れないんなら、だったらゲーム買ってよって言ったら怒るんだ

だから仕方なく近くの遊歩道や、そのわきに流れてるドブ川でいつも友達と遊んでるんだ

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その日、友達と遊んでたらドブ川を川とびするのも遊歩道でかけっこするのも飽きちゃって

近くに神社と一緒になった公園があるから、そこで遊ぼうってことになったんだ

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その公園は初めて来たわけじゃないけどとっても楽しかった

特に丸いジャングルジムみたいのがあってね

それがグルグル回るんだ

こうたくんもしんじくんも丸いのに乗って、僕がグルグル回すと、やめてやめてーって言うんだけど本気じゃなくて楽しいんだ

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いっつもよりなんだか楽しくて、ずっと遊んでたらいつの間にか空がオレンジ色になってたんだ

夕方だ!って思って、僕は夕方には帰らなきゃって思って

こうたくんもしんじくんもおんなじでそれじゃまたねって帰ったんだ

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お母さんいつも夕方に帰るから、お母さんが帰るまでには家にいなきゃ、またお外出てたの!って怒られちゃう

そう思って自転車押して公園からぐるっと神社の方に回ったら

自転車の建物に続く階段におばあさんが座ってたんだ

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目の前に自転車置いて、ボロボロのかっこしたおばあさんが階段に座ってた

それ見て思ったんだ

お父さんが言ってたヤツだ!って

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なんだか怖くなって少し小走りに自転車を押した

家に帰るには階段の前を通り過ぎなきゃいけない

おばあさんの目の前を通り過ぎるか過ぎないかってときに自転車に飛び乗ってこぎはじめたんだ

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そのとき、おばあさんがいきなり

「うひゃおおう!」

大きな声で叫んだんだ

僕は自転車をいきなりおもいっきりこいだせいで、チェーンが外れておばあさんからちょっとのところで急いでチェーンを直そうとしたんだ

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「こじゃ、こじゃ、おった、おった」

おばあさんがのろのろと自転車に乗り込む

僕は前にお父さんに教えてもらった手順のとおりにチェーンをかけていった

手が油でまっくろになった

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おばあさんは自転車に乗ってこっちに向かってきた

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ガタン、ギィー、がしゃん

おばあさんがもうこっちに来てる!

ちょっと泣きそうになりながら、なんとかチェーンがかかったんだ!

いそいでまた自転車に乗って、今度はゆっくりこぎだして

少ししてから後ろを見てみた

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ギィーコ、ギィーコとおばあさんがのろのろと自転車をこいで来ている

これならよゆーで逃げきれる

遠くなっていくおばあさんの顔は薄暗くてよくみえなかったんだけど

ニヤっとおばあさんがわらったのはなんでかわかったんだ

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お父さんがなんで怖がってたのかわからなかったけど、いまはわかるよ

逃げ帰ったとき、わかったんだ

今はちゃんとお母さんの言う通り、あんまり外に出てません

ちゃんと夕方までに帰ります

ちゃんといい子にするからお父さんをゆるしてください

Concrete
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