短編2
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バチ

小学5年生の秋、父方の祖父母と同居するため一軒家に引越した。

私と姉は同室で弟は1人部屋になった。

姉は早々に片付けを終え、片付けの苦手な私は1人で足の踏み場のなくなった部屋を前に途方に暮れていた。

そこへ一歳下の弟がやってきた。

「邪魔じゃけん、あっち行きんさいや!」

イライラしていた私は弟を邪険にした。

対し、弟は気にすることなく辺りのものをいじる。

「物踏んで壊しんさんなよ」

そう言いながら不安になる。

今夜この部屋で寝ることできるんじゃろか…?

不安と苛立ちで、片付けが進まない。そんな時、弟が何かを踏んだらしく、あーと声をあげた。

見るとそれはどこかの神社でもらったお札だった。

「あーあ あんたバチがあたるよ」

お札をそんなところに投げている私が一番バチ当たりだと思いつつ、弟をおどす。

弟は気にかける様子もなく、物色を続けた。

そして、突然

「ヒッ」

と短い悲鳴をあげた。

「どうしたん?」

弟は自分の足を見つめたまま固まっている。

私も弟の足に眼を向ける。そして息を呑んだ。

弟の左足に千枚通しが刺さっていた。

弟が怯えた視線をゆっくりと私に向ける。私はどうしていいかわからず、その場で固まるばかり…

やがて弟は震える手で千枚通しを抜いた。

抜いた瞬間、血の気がひいて真っ白だった傷口から、血がじわっと滲んだ。

同時に、

「うわぁーん」

弟は泣きながら一階に降りていった。

私はお札を拾って、シワをそっと伸ばした。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

謝りながら、カラーBoxの一番上に置いた。そのあと急いで片付けを終わらせた。

私の持ち物に千枚通しはない。姉だって同じ。

何でそんなものがあったのか。

千枚通しは左足のすねに刺さっていた。どう動いたらそんなところに刺さるのか…

今でも不思議。

Concrete
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