短編2
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バックミラー

ママ友の話。

家族でお出かけした帰り道。

海沿いの一本道を車で走っていた。

御主人の運転でママは助手席、二人の子供が後部座席で眠っていた。

夜遅く、他に車はいなかった。

小さな踏切を過ぎたあとだった。

何気なくバックミラーに眼をやった。そしてそこに在るはずのないものをみたママは、叫びそうになるのを必死で堪えた。

後部座席を振り返る。

異変に気づくことなく、2人の子供たちは

寝息をたてていた。

もう一度、バックミラーをみた。

バックミラーには車内にいるはずのない女の顔があった。

もはやバックミラーはその役割を果たしていなかった。

細長いミラーには女の顔の中心部が映っている。切れ長の目と鼻だけなのに、女の全体像が浮かんでくるような強い存在感があった。ずっと見ていると引き込まれてしまいそうな…

「J子! おい」

御主人に名を呼ばれて、ママ友はハッと我に返った。

「大丈夫か?」

夫の問いに応えようとしたが、声が出ない。

バックミラーから眼が離せない。

女から眼が離せない。

バックミラーは運転している人に対し、後ろがよく見えるように向きを調整してあるが、ママには女がバックミラーごとこちらに向き直り、迫っているように感じた。

女が自分を見ている。ママはそう感じたそうだ。そして自分も眼をそらせない。

捕まった。

そう思った瞬間、御主人の手が伸びてきてママの視線を遮った。

「見るな!」

御主人の力強い言葉に、ママは涙が出たそうだ。

そのあとはずっと俯いたまま心の中で、早く消えてくれと念じてたそう。しばらくして耳元で

「チッ」

と舌を鳴らす女の声が聞こえたような気がした。そして、御主人の

「もう大丈夫」

と言う声に恐る恐る顔をあげ、バックミラーを見た。

女はいなかった。

御主人から聞いたところによると、女は踏み切りを過ぎる前からいたという。

ママはそのあと家に着くまで震えが止まらなかったそうだ。

Concrete
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@かがり いずみさん、初めましてこんばんは。
この踏切は当時、私もよく車で通りました。
ママ友からこの話を聞いてからは私も怖くて、通るたびに心臓がドキドキしてたのを覚えています。幸いなことに私は、大丈夫でした。でも、最近の話ですが、外出先で自宅にいる主人とFaceTimeで会話中、画面に映る主人の周りにオーヴを見つけたんです。その後、家でiPadを片手にオーヴを探していたときに、視てしまいました。
iPadに映る自分の右斜め後ろに、女の人がいるのを…
怖かったです。
かがり いずみさん、御読みくださりありがとうございました。

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ご主人も奥様も霊感がお有りだったのでしょうか。
怖い体験ですね。

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