中編6
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穴場のキャンプ場

Aug.08 1997 ●REC

J「撮れてるか?」

D「待てって…、よし撮れてるぞ、…見てるか?お前が来れないからおれたちが楽しんでる様子を記録してやるよ」

J「悔しいか?次は必ず来いよ」

S「今は車で目的地に向かってる。かなり穴場だ。どこのキャンプ場も空いてなくてそこに決めたんだが、コテージもあるし、すぐ近くに湖があってボートにも乗れるらしい」

J「男3人でボート漕いだってしょうがないけどな」

D「言えてる。また目的地に着いたらカメラをまわすよ」

■STOP

Aug.08 1997 ●REC

J「はっはー!見えてるか?」

S「格安でこんなコテージに泊まれるなんて最高だな」

D「来れなかったお前のことを思うと心苦しくて、今晩は最高のビールが飲めそうだよ」

J「おい、部屋を紹介してやろう」

D「オーケーだ。まずはこのリビング。デカいキッチンに居心地の良いソファー。文句ないだろ?」

J「寝室も見せてやろう。来いよ、2階にあるんだ。…さて、どれどれ…、ジャーン!キングベットだ!」

D「今夜このベットをかけてポーカーだ」

J「いいね。のった」

S「ぼくもだ」

J「1位はここ。3位は下のソファー。そして2位は隣の部屋のクイーンベットだ」

D「隣の部屋も見せてやろう」

J「よし、着いてこい!………ジャーン!ここもなかなーー」

D「………なんの音だ?」

S「鼠だろ?1階に鼠捕りがあった」

J「なるほど。まぁ、こんな良いところだ。それくらいなら我慢できる」

D「そしたら一旦止めるぞ」

J「次をお楽しみに…」

■STOP

Aug.08 1997 ●REC

D「悪い、カメラをまわし忘れた…、もう飯も食い終わってみんな食後のビールタイムだ」

S「その前もビールタイムだった」

J「明日も朝から飲んでやろう。せっかくの休暇だ」

D「もちろんだ」

J「因みにキングはおれだ」

S「きいてくれ、ぼくがソファーだ!」

D「明日またベットをかけて勝負しよう。今日は運が悪かっただけさ、なぁ?」

J「運が良くてもオレより運が良くなきゃ勝てないぞ」

S「ぼくに女神様が微笑むといいんだが」

J「それじゃぁ、また明日だ」

D「おやすみ」

■STOP

Aug.09 1997 ●REC

J「まわしてるか?」

D「あぁ、録画してる」

J「おはよう、と言いたいがもう昼だ。そしてここは湖の上だ」

S「結局ボートに乗ってる」

D「おれたち以外誰も泊まってないみたいなんだ。美人でもいりゃ、ご一緒したいのにな」

J「オレを美女と思って我慢しろ」

S「笑える」

D「しかし思ったより汚いな。底なんか見えやしない」

J「落ちたらシャレにならないぞ」

S「言えてる。………おい、あれ。女じゃないか?」

J「どこに?」

D「ほんとだ。他の客じゃないか?おーい!」

J「おい戻れ!早く漕ぐんだ」

S「急かすな、漕いでるよ」

D「…あれ、いないぞ」

J「は?そんなわけあるか。今そこにいたんだ。消えたわけじゃあるまいし」

D「いや、見ろって…」

S「ほんとだ、いなくなってる…」

J「お前が大声で叫ぶからだ」

D「んなわけあるか!」

S「とりあえず戻ろう。ディナーに誘うのはそれからでもいいだろ」

■STOP

Aug.09 1997 ●REC

D「…むさ苦しくて悪いな。結局女は見つからなかったよ」

S「それにぼくたち以外やっぱり客はいないようだったね。彼女何者だ?」

J「オーナーの娘かなんかだろ?入り口があんな頑丈だったんだ。勝手に入るなんてありえないだろ」

D「まぁ、別に美女だったら不法侵入だろうがこっちは大歓迎だけどな」

J「まぁいい。とりあえず酔っ払う前にポーカーだ」

D「あぁ、その前にちょっといいかな」

J「なんだ?」

D「2位をクイーンじゃなくてソファーにしないか?」

S「どうして?確かにこのソファーは寝心地は良かったけど、ベットのほうが良いだろ?」

D「いや、あの部屋鼠の足音がな…」

J「マジかよ。こっちはそんなのしなかったぞ」

S「ここも足音なんてしなかった」

D「だからだ。音で起こされるんだよ、気持ちよく寝たいのに」

J「ならちょうど良い。負けたやつがなんの罰もないなんてつまらないからな。よし、ビリはクイーンだ」

S「オーケーだ」

D「今日は負けないぞ」

■STOP

Aug.10 1997 ●REC

S「…調子どうだ?」

J「…最悪だ」

D「な?鼠いたろ?」

J「すごい足音だった。しかし、だとしたら相当デカい鼠だぞ?ものすごい音だった」

D「鼠捕りがかなりのサイズだったからそうなんだろ?」

S「まぁ、いいさ。今日はぼくがクイーンベットで寝るよ」

J「いいのか?」

S「皆平等にいこう。なんだかお前を見てると可哀想でさ」

D「なんならキングで二人仲良く一夜を共にすればいい」

J・S「「それはない」」

■STOP

Aug.10 1997 ●REC

J「…録画する必要あるか?」

D「おれたちの大事な休暇を台無しにしようとしてるんだ。だからこれは証拠映像だ」

S「笑える」

D「とにかく最初から話そう。まず全員ボートに乗ってる時に女は見たな?」

J「見た」

S「はっきりとね」

D「で、ちょっと目を離した隙に消えた。そうだな?」

J「消えた」

S「煙のようにな」

D「それで、さっき窓から部屋を覗いてる女がいた。それで急いで外を見に行ったが女はいなかった」

J「いなかった」

S「なぁ、落ち着けって。見間違いじゃないのか?」

D「そんなわけない!ちゃんとこの目で見た!だったら映像を確認しようじゃないか!」

■STOP

Aug.10 1997 ▶︎PLAY

D「ほんとに作れんのか?」

J「任せとけ。ばあちゃん直伝の味だ。腰抜かすぞ?」

S「ちゃんと食えるもん作ってくれよ」

J「おい、ちったぁ信用しろよ。オレはコックの息子だぞ?」

S「初耳だ」

D「…おいちょっと待て、窓…」

J「窓?………おい」

D「あん時の女だ!」

S「おい、なんだよ。どうした?」

■STOP

Aug.10 1997 ●REC

D「…はぁ、…いただろ!?」

S「いた」

J「ボートん時の女だった」

S「なんでびしょ濡れだったんだ?」

J「だから窓んとこ濡れてたのか?」

D「バケモンだよ!じゃなきゃ手の込んだ嫌がらせだ!畜生!」

S「なぁ、落ち着けって、とりあえず明日の朝すぐに帰ろう。ぼくも気味が悪い」

J「言えてる。今日はもう遅い。一晩我慢してすぐに帰ろう」

■STOP

Aug.11 1953 ●REC

■STOP

Aug.11 1997 ●REC

D「…はぁ、…っ、はぁ。いなくなった。…女がいて…、追っかけたんだ…。でも、どこにもいなくて…、いや、違う。あれは女じゃなかった…、人間じゃなかった…」

S「おい!いたか!?」

D「いないよ!どこにもいない!」

S「落ち着けって。確かに女と一緒だったんだろ?突然消えるわけないんだ」

D「消えたんだ!あ、あいつ笑ってやがった!人間じゃねぇよ!くそっ、畜生!」

S「もうカメラなんていいから、ほら貸せ…」

■STOP

Aug.11 1953 ●REC

■STOP

Aug.11 1997 ●REC

D「はぁ…、はぁっ……、っぁ、はぁ…、おれ、一人に…、またあいつが連れて行きやがった…、はぁ…、はぁ…。

………………はっ?なんで…、なんでだよ!く、くるまがねぇ!ふざけるな!くそっ、…っ!バカにしやがって、出てこい!畜生が…、相手してやる…、はぁ…、はぁ…、っはぁ、………かかってこ

■STOP

Aug.11 1953 ●REC

■STOP

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@春秋さん
コメントありがとうございます!
細部まで書き記して伝える恐怖はもちろんですが、こういう手法もありかなぁって思ったりします。
あぁー、春秋さぁーん!
返事がない。
ただの しかばねの ようだ…。

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面白いですねー!!!
文字で追うのもなかなかオツでございます。

わ、誰だお前!
よせ!何を…や…ぐ…

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