友人にはそれが猫に見えたらしく

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

友人にはそれが猫に見えたらしく

ある友人、都内で一人暮らしをしていまして。

駅から家までが一方通行の細い一本道で徒歩3分とかなり良い立地に住んでいたのですが、

ある朝出勤しに駅に向かって歩くと、もうすぐ駅に着くというところで足元に黒い物体があるのに気づきました。

友人にはそれが猫に見えたらしく「うわっ!」と思わず驚いたのですが、よく見るとそれはスキー用らしき分厚い黒い手袋でした。

なんだ手袋か夏なのに珍しいな。と特に気に止めることなく、その時は通りすぎて改札に入ったそうです。

その日の仕事終わりに駅から帰宅していると、

また黒い手袋を見て「うわっ」と思わず驚いてしまったらしい。

なんだ今朝のやつか。と安心しながらも、今朝は道に落ちてたその手袋が、そこから5mほど離れたガードレールの上にぶら下がっていた。

その道は小学校の通学路でもあるため、子供が投げたりして遊んでるのか~と特に気に止めずに帰宅したそうです。

また次の日の朝出勤すると、今度は町の掲示板の上にかかっていて、その日の帰宅時には植木の下に落ちてて、と、それは見る度に場所が変わっているようで、

子供が毎日蹴っ飛ばしたりして遊んでるんだな~となんとなく微笑ましい気持ちにもなりながら数日が経ち、異変に気づいたのは一週間経ってからでした。

出勤のため家を出ると、その手袋、自分が住んでいるマンションの中央玄関の内側に落ちていたらしいんです。

え?オートロックなのになんで?と少し気味が悪くなったのですが、踏まないように避けてその日は出勤しました。

仕事中に思い返してみると、そういえばあの手袋、日に日にうちのマンションに近づくように移動していたような気がする。

言い表せない気味の悪さを抱えながら仕事を終え帰宅すると、

中央玄関に手袋がない。

誰かが捨てたのかな…と思いながら3階の自分の部屋まで階段を上がると、

あの手袋が、自分の部屋の玄関のドアノブを握る形でぶら下がっていた。

ぞわっと鳥肌がたち、思わずその手袋を取って3階から外に向かって投げ捨てて、これは誰かのイタズラだと自分に言い聞かせて急いで部屋に入ったそうです。

落ち着かないまま部屋にいると、その10分後くらいに、

「ガチャガチャ」

と玄関のドアノブを回す音がするんですって。

うわーって思って、すぐに心霊に詳しい友人に電話して、事情を説明したそうです。

「その手袋、どこにあんの?」

と友人が聞くので、

「ぶん投げちゃったからわかんないよ」

と答えると、

「それ今すぐ拾ってきた方がいいよ」

と言う。

なんで?

と聞くと、こう説明してくれたそうです。

「遺品に霊が引き寄せられて向かっていくケースはよくあるんだけど、たまにあるのが、霊がいる場所に遺品が向かっていく事もあるのよ。わけあってその場所から動けなかったりするとね。

だから、早く手袋拾ってきて部屋の中に入れてあげないと、お前の部屋にいる誰かに怒られるよ。」

って。

あぁ、ドアノブを回す音、外からじゃなくて内側から回してたんだ。もう部屋の中にいるんだ。と思うと恐ろしくなって急いで部屋を飛び出し、その手袋を探しにいったそうなのですが、

結局その手袋は見つからなかったため、翌日逃げるように部屋を解約して引っ越したそうです。

その、手袋を探す"誰か"は、家に憑いているのか、人に憑いているのか。

もう終わった話だと願うばかりです。

Concrete
コメント怖い
2
16
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信