中編3
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お客のカバン

大学生で県外に行き一人暮らしを始めた僕の友人から聞いた話です。仮にKとします。

Kの生活費は親からの仕送りでしたが、遊ぶお金は自分で稼がなければならなかったのでバイトを始めました。

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時給が良かったのとアパートから近かったことが決め手となり居酒屋でバイトを始めました。

夏休みになってKは稼ぎどきだと夜遅くの閉店までシフトに入っていました。お客さんが帰り店内の清掃をしているとカウンター席の椅子の下にカバンを見つけました。

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『お客さんの忘れ物だ』と思い、とりあえず店長に報告しました。

「すみませーん。店長、カバンの忘れ物がありましたー」

「おう。そうか、次取りに来るかもしれねぇからそこのカゴにでも入れといてくれ。ついでにそのカゴに札つけて忘れ物入れにしておくわ」

「わかりました。じゃあこの中に入れときます」

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Kがカバンを持ち上げると変な感触がしたそうです。ぐにゃっとしたような柔らかい手触りで、持ち上げるとブルブルと震えました。

「うわっ!気持ち悪ぃ!」と少し大きな声を上げてカバンを落としてしまいました。

「どうしたんだー?」と店長が駆けつけてきて言います。Kは今起きた通りのことを伝えました。

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「ふーん。そうか、そんならおれが運んでやる」

「気をつけてください、ほんと気持ち悪い感触でしたから」

「おいおい(笑)なんともねぇじゃんか。こりゃただのカバンだぜ。」

「そんなはずはないと思いますが。」

「ほんならもう一回、持ってみるといいべ」

先ほどとは打って変わって何も変哲はありませんでした。

「すみません、僕の勘違いだったようです」

「ここ最近よく働いてくれてたからな疲れてんだろ。それカゴに入れたら家にけえって休んだらいい」

「ありがとうございます」

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Kは家に帰り、シャワーを浴びて布団に入り寝ようとしました。しかしあのカバンの中身が気になって寝付けませんでした。「あれはなんだったんだろう?」と疑問が渦巻いて結局徹夜しました。

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次の日も同じ時間帯にバイトへ行くと店長がやけにげっそりと弱った様子でいました。

「お疲れ様です」と挨拶をすると

「あぁおつかれさん。」

「店長、今日やけに疲れてるみたいですがどうされたんですか?」

「昨日、お前が帰ったあと妙にあのカバンの中身が気になってな。」

「それで開けたんですか?中身はどうなってました?」

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「聞かない方がいいぞ。」

「教えてくださいよぉ〜。ここまで来たら余計気になります」

「、、、わかった。それなら話す。カバンの中には木箱が入っていた。カバンにぴったりのサイズで」

「その箱は開けました?」

「ああ、好奇心もあったから開けてみたんだが、、、」

Kは店長の顔がだんだん青ざめていくのを見た。

「あ、いいですよ。話すのが辛いのなら僕大丈夫ですから。」とKがとっさに言ったが

「話すよ。」とさっきとは打って変わって満面の笑みで言った。

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「いや、大丈夫です!今日もう僕帰りますから。」

Kは聞いてはいけないことだと直感的に思い、荷物をまとめて帰ろうとした。

「まぁ、待てよ。」

右腕を掴まれたが振り解いてアパートまで走った。玄関を抜け、倒れ込むように部屋へ寝転がって初めて気づいた。

「店長の手。妙にグニャッとしてたな」そしてその日からしばらくKはバイトを休みました。その間Kの腕は何度か痙攣したそうです。

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落ち着いたのでバイトに行き、店長にあの日のことを聞きました。

「店長、あの日のアレなんだったんですか?」

「ん?なんのことだ?」

「もう、とぼけないでくださいよ。僕ほんと怖かったんですから」

「だからなんのことだ?」

どうやら店長は本当に知らないみたいだった。しかもあの日は店の定休日だったことをKは思い出しました。

例のカバンはいつの間にやら忘れ物ようなカゴから無くなっていたそうです。

Concrete
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