中編4
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憑きもの

怪談師の村上ロックさんのお話で1つ。

とても気に入った話があったので、私の解説付きで書かせていただきます。

それは、とある男性の体験談。今から、30年ほど前の話。

彼には同期入社した【田宮】と言う男性がいたらしい。この【田宮】と言う男は、とても魅力のある人間だったと言う。

冗談が上手く同期や上司にも気に入られ、皆を笑わせていた。しかし、面白いだけでなく妙な違和感を体験者は感じたらしい。

だが、理由はわからずさほど気には止めていなかった。そして2人で居酒屋に言ったある日の帰り道、道路の脇に花束が添えられてるのを見つけ【田宮】は手を合わせたらしい。

それを見た体験者は、「こんな一面もあるんだな。……できた人間だ」と内心で思ったそう。すると【田宮】は肩を震わせた。

体験者はその様子を見て【田宮】が被害者を思い泣いているものと思ったが、実はそうではなかった。なんと、あろう事か【田宮】は笑っていたのだ。

体験者は思わず「【田宮】?何してんだ?」っと声をかけた。振り返った【田宮】は満面の笑みで、「あ、これ?」っと手を合わせる仕草をして話をし始める。

【田宮】「実は、俺昔から霊感が強くてさ。こうゆう事故現場とかに来ると必ず手を合わせるようにしてんだ。

…………お前、こうゆう話し信じるかわかんないけど幽霊って本当に居てさ。

手を合わせると俺が同情してると思って憑いてくるんだよね。あいつら馬鹿だから」

その言葉を聞いた体験者は「あ、こいつちょっとおかしいな」今まで漠然と感じてた【田宮】への違和感がはっきりとした。そして【田宮】は続けて話す。

【田宮】「お前さ、幽霊見たことある?」

体験者「ないけど……」

【田宮】「見たい?」

体験者「見れるの?」

【田宮】「うちすぐそこだから、寄ってけよ」

そこから【田宮】の部屋に向かった2人。部屋に入るなり、灯りを消し常夜灯にし1m程の距離で向き合うと

【田宮】「じゃあ、行くぞ」

そう言い、まるでパーカーを被るような仕草をして見せたらしい。と、同時に【田宮】の首の辺りから真っ黒な人の手が何十にも重なりドーム状に覆いかぶさってきて【田宮】の顔にめり込んだと言う。

しかし【田宮】は、微動打にしてはいなかった。

【田宮】「な、これなんだよ」

部屋の明かりをつけると、その手は消えてしまう。体験者が呆然としていると【田宮】がまた口を開いた。

【田宮】「お前さ、今見ただろ?幽霊って本当にいて俺がこれ(手を合わせる仕草)すると沢山憑いてくるんだよ。

でさ、俺もこれ溜まりすぎると落としに行かなきゃ行けないんだ。

でな、お前ついでだからそれも見に行くか?」

そう言い、部屋を出ると深夜の住宅街をしばらく2人で歩く。そして着いた先は、どう見ても人が住んでいない二階建ての廃墟だった。

体験者「【田宮】。ここ、誰んちなの?」

【田宮】「……」

体験者「おい【田宮】、なんだここ?」

しかし、体験者の問いかけに一切答えず【田宮】は、鍵の相手いる玄関から土足のままズカズカと入って行ったらしい。

そして無言のまま、リビングに向かう。そこでようやく【田宮】が話し出した。

【田宮】「実はこの家、まだ誰も気づいてないんだけどすごい場所なんだよ。

お前さ、幽霊が出るトンネルとか聞いたことある?(おそらく今で言う心霊スポットの事)

この家は、そうゆう意味ですごい場所なんだよ。以前、ここに住んでいた四人家族。

全員この家で首括って死んでるんだ。それがいいんだ」

言い終わると【田宮】はその場で排尿をし始めた。

体験者「何してんだよ!?」

【田宮】「ああ……俺に憑いてるものを落とすには排泄すんのが1番いいんだ。

でさ、この家で落す事でこの家にいる幽霊とぶつけるんだよ。するとな、相殺するんだ」

正直、話を聞いた体験者は「何言ってんだ。この男は?」と思ったらしいが。なんと翌日、その廃虚……不審火により全焼してしまったのだと言う。

その一件以来、体験者は【田宮】が怖くなったそう。それでもある時勇気を出して、こう切り出した。

体験者「なぁ【田宮】。お前まだこうゆう事(手を合わせる仕草)やってんの?」

【田宮】「ああ、やってるよ」

体験者「……俺、そうゆうの詳しくないけど大丈夫か?祟りだとかバチが当たるとか無いのか?」

【田宮】「ふ……ないない。全然ない。ないからやってんだもん」

体験者「お前になくたって、家族とか周りの人たちは大丈夫なのか?」

【田宮】「え?家族?

家族なら、全員死んだよ」

両親か遠縁の親戚に至るまで親族全員亡くなってるらしい。そして、そんな話をした1年後に【田宮】本人も亡くなった。

冬の寒い晩。【田宮】は自宅近くの踏切に立ち遮断機がおりで電車が近づいてくる時、後ろで目撃していた人間の話だと【田宮】は1人なのにボソボソ話していたんだそう。内容は

【田宮】「はい。ええ、そうですよね。

……ええ、わかってます。ええ……それは、仕方ないと思ってます。

はい……はい。はい。わかりました。はーい!」

と自ら飛び込んだらしい。

村上ロック「結局、この【田宮】さんと言う男性。この妙な行動(手を合わせる仕草)を繰り返すことによって、最終的には自分もどうしようも無くなったんじゃないか?それで向こうの世界に連れつ行かれたんじゃないか?

ただ、幽霊と言うものも怖かったんだけどあの【田宮】と言う男が何故この行動(手を合わせる仕草)をする様になったのか?

もしかしたら、この行動を繰り返すことによって自分の親族が1人ずつ死んでいく。……それを含めて楽しんでたんじゃないかな?そう考えると、あの【田宮】と言う男の人間性……それが一番怖いんだよな。

そんな話を聞かせてくれたんです」

Concrete
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