神御呂司村の怪奇譚 本編4

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神御呂司村の怪奇譚 本編4

その後、村では年一回、神への感謝を込めて祭りを行うようになった。祭事の具体的な内容は次のようなものである。

 祭りは村の長と神主の二人が仮面をかけ、村人たちを指導して進めていく。

まず、壺に五穀を納める。その壺を密封して竹で組んだ輿に載せて男たちが掛け声と一緒に運んでいく。

そして、村の若い女たちは赤い着物を身につけて踊り始める。仮面をかけた村の長と神主は手に鈴を持って打ち鳴らしながらその二つのグループを誘導し、山の周りを練り歩く。三周した後に山の入口で山の長と神主が男たちから壺を受け取り、二人だけで神を祀った祠がある山の山頂に登っていく決まりになっている。その際、壺を運んできた男たちと赤い着物を身につけて踊る女、それに他の者たちはただちに各々の家に帰らなければならない。

二人の後を追いかけてはいけないし、帰宅途中も家に着くまでは無言でいなければならない。

村の長と神主の二人が最後に祠の前に壺を供え、二礼二拍手をして静かに下山して祭りは終わるという。ちなみに祭りを指導する村の長と神主しか入山できない理由は普段から山が禁足地とされているからである。

ただ、この両者でさえ入山を許されるのは年に一度だけであり、祭り以外で立ち入ることは認められていない。

 この祭りが行われるようになってから村ではミサゲという言葉が生まれた。

 神御呂司村においてミサゲという言葉は神への感謝を忘れず、親身に尽くすという意味が込められている。そのことから神が降り立った山をミサゲ山と呼ぶようになり、祭りの名称もミサゲ祭りとされた──』

 

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