短編2
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蝉時雨

みーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーん

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長かった梅雨も明け、ようやく夏が来た。

外ではせみ達がこの世の春、いや、やっとこさこの世の夏と言わんばかりに鳴いている。

昨今の世の中、近くの保育園の子供の声がうるさいと苦情が来るなど世知辛いニュースが多分にあるがせみの声は例外なのだろうか。

苦情を言う先もないか。

夏の照りつくような暑さに加えて、これだけ大合唱されては、、

と思うが、クーラーの聞いた部屋でこの大合唱を聞く時間はあながち嫌いではない。季節の風物詩を五感で味わっている気がして、なんだか贅沢だ。

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せみの命は短い。あれだけ圧巻の声量を誇った大合唱団も一匹二匹といなくなり、ついには何となくせみがいる木が特定できるくらいの数になってしまった。

そうなると厄介なのが、足元のせみである。

命を燃やし尽くして、地球の養分になるのを待っているのかと油断していると、、、

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ジジジッ

ジィッジィッ

なんとも不気味に動き出すのである。

ちょっぴし、いや、かなりひやひやする。

ジジジッ

ジィッジィッ

玄関先にもいたようで。夜コンクリート上にせみがいても全く気づけない。おちおちスマホをいじりながら歩いてもいられない。

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みーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーん

大分近いので、大きな声は聞こえるが、恐らく一匹二匹である。あれだけ昼間にないてまだ足りないのかと思うが、またふと風物詩を味わっているような贅沢に気持ちで聞き惚れていた。

それにしても近い。

近くに木でもあったかな?

みーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーん

ちょっと窓を開けて観察でもしてみようかと思い、カーテンを開けると

shake

ジジジッ

shake

ジィッジィッ

shake

みーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーんみーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーんみーんみんみんみんみーーん

みーんみーんみんみんみーん

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