短編2
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タケマル

これは五年前、俺が体験した話です。

それは地元の青森を離れ、神奈川での生活に慣れたころ。

久しぶりに幼なじみのMから電話がありました。

昨日タケマルが死んだんだ…

お前、こっち帰ってくる?

タケマルとはMの婆ちゃんで、歳のわりにめちゃくちゃ元気でさらにワガママでしかも楽しくて、やんちゃ盛りの俺達に大人気の婆ちゃんです。

よく怒られもしましたが俺達は親しみを込めて、某マンガのキャラクターになぞりタケマルと呼んでました。

家族ぐるみの付き合いもあり、Mは友達の中でも俺だけはと連絡をくれたのでした。

しかし当時は仕事が忙く、青森まで帰るお金も無い事から葬儀には行けないと告げ、そのまま思い出話にふけました。

久しぶりという事もあり、2時間は話込んだでしょうか。

時計が1時を過ぎた頃、異変は起きました。

ポクポクポクポクポクポク…

電話の向こうから木魚の音が聞こえて来たのです。

青森の風習で火葬するまでは、親族や坊さんが交代で夜通しお経を詠む事が多いのであまり気にはしなかったのですが、会話に集中しづらくて俺はMに言ったんです。

木魚がうるさくて寝れね~んじゃない。

え?…あぁ

俺の部屋今は離れだから大丈夫だよ。

ん!?

だって今…木魚の音してんじゃん。

は?してね~よ?

その時でした。

いづまで電話ばしてらんず!!

ピッ

ツー ツー ツー

電話は切れました。

最後の音…

それは間違いなくタケマルでした。

すぐにMにかけ直してこの事を話すと、声はMも聞いていました。

不思議と怖さは無く、むしろタケマルの声を聞けた事が嬉しいと思いました。

また怒られたね。

あぁ、あの世でもきっと元気なんだろな。

タケマル、津軽弁だったね。

タケマルらしいな。

Mも少し嬉しそうでした。

読みづらい所が多々あったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー エリオさん  

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