短編1
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死刑囚

某所に手のつけられない荒くれ者の死刑囚がいて

看守達もほとほと手を焼いていました。

そこで、ある教会の神父様が呼ばれました。

その神父様、なかなか良く出来た人で、彼と独房で会う時に

聖書の中に小さな紙切れをしのばせていました。

最初は「声を出すな。お前を救う作戦がたっている」とか言う感じで。

彼はそれを見て、神父はグルだと思って、自分のボスが助けてくれる

と確信していました。

会う度にメモが増えていきました。「作戦は順調」とか「もうすぐだ」とか。

そして最後の日に渡されたメモにはこう書いてありました。

「作戦決行は、最後の瞬間」。

彼にとってこの世で最後の日。最後の夕食を食べ

神父に最後の祈りを聞いてもらい、

看守に引き連れられて電気椅子に向かい、

最後に顔の前にカバーがかけられる瞬間まで彼は笑顔でした。

彼の死後、ある看守に、一体荒くれ者だった彼をどうやって大人しくさせたのか、

と問われた神父はその看守にこう答えました。

「私は彼に『希望』を与えたんです。」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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