短編1
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しゃべったら殺すぞ。

これは仕事場の同僚Nさんから聞いた話。

平日の午後、Nさんが電車の席に座っていると

赤ちゃんを抱き小さい男の子を連れた女が電車に乗り込んできた。

女は腕の中でユラユラと赤ちゃんを揺らしている。

赤ちゃんはピクリともせずグッタリとして眠ったままだ。

赤ちゃんの顔は青白く、まるで生気を感じさせない程だったという。

女が電車に乗ってから少し経った頃だった。

女が連れていた小さな男の子が、無造作に赤ちゃんの手を取り出すと

ガブリと口の中に入れたのだ。

そして味わうようにガリガリと口の中で噛みはじめた。

ポタリポタリと血が座席に滴り落ちる。その間も赤ちゃんは少しも反応を見せなかった。

女がふとNさんの視線に気付いたのか、男の子を引き離すと、言い聞かせた。

「おうちに帰るまでの我慢よ!」

タオルで赤ちゃんの傷口を隠すと、次の駅で女は電車を降りていった。

駅までの間、女はNさんをずっと睨みつけていた。

降りる瞬間、Nさんを恐ろしい形相で睨みつけ

「しゃべったら殺すぞ」

と言い捨てていったという。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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