短編2
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命日の訪問者

 これは、私が小学生だった頃に実際に起こった出来事です。

その日は、私をこよなく愛してくれた、父方の祖母の命日でした。

その朝、私が起きて朝食のために階下に降りると、母が不思議そうな顔をして、一人台所に突っ立っていました。

そんな母の傍らにある冷蔵庫は、なぜか扉が開いていて、そして牛乳やらバターやら、冷蔵庫の中身のものが台所のカウンターの上に無造作に出されていました。

「・・・お母さん?」

私が声をかけると、母は私に

『昨日の夜・・・冷蔵庫を開けっ放しにしなかった?』

と尋ねてきました。

私は夜中に冷蔵庫を開けて何か食べるということはしないので、私じゃないよと答えました。

母は、そうよね・・・でも、お父さんも違うって言うのよね・・・。

と、困った顔でつぶやきました。

お母様なのかしらねぇ・・・。

(お母様とは、私の祖母のこと)

その翌年、再び、祖母の命日を迎えた夜、おかしなことが起こりました。

翌朝、気付いたのですが奇妙なことに、普段は使わない食器棚の中のコーヒーカップがいくつかひっくり返されていたのです。

(また、おばあちゃんなのかな・・・)と私は思っていたし、家族もそうじゃないかといっていました。

一見、変なイタズラばかりしているように見えましたが、本当は家族や孫である私のことを心配してくれていて、この世を離れられないでいるのか、それとも寂しいのかなぁと思っていました。

コーヒーカップのひっくり返された年の翌年。

その年の祖母の命日の日の朝、まだ7時くらいだというのに、ピンポーンと、一回だけドアのチャイムが鳴りました。

母がこんな早朝に・・・と不審に思いながらも、外に出てみると、そこには誰もいませんでした。

これが、最後の祖母のイタズラ(?)になりました。

今はもう、命日になってもそういったことは起こりません。

安心して、天国に行ってくれたのだと思っています。

今思うと、本当に不思議だったなぁという感情がひしひしと湧いてきます。

幽霊は、物を動かしたりつかんだりは出来ないと思っていたのですが・・・(すり抜けてしまいそうですし。)

不思議だなぁ・・・

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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