短編1
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SOS

電話に出るなり「助けてぇえええ!!!」と叫ばれた。ただ事じゃない、と思って警察に通報して一緒に着いてきてもらった。

しかし誰かと口論しているわけでなく、家が荒らされているわけでもなく、ただMが錯乱しているだけだった。人が来たことで大分落ち着いたようだったけれど。

キャミソールワンピース姿のMの腕にはリストカットの傷が真新しく、精神的に参っているのだろうて言って警察には帰ってもらった。

しばらく話すと、精神的に限界が来たからではなく赤ん坊の霊がまとわり付いてきてそちらに堪えきれなくて助けを求めたそうだ。

視えて、尚且つメンタル面の悩み相談を受け付けてくれそうなのが私しか思いつかなかったとか。

Mは高校の時流産した経験があった。そういう相談も受けたことがある。あの頃は多分彼女の人生で一番沈んでいた時期で、鬱で、かつ周囲から反対されていたけれど生まれてくる赤ちゃんが希望になってくれると信じていた。

あの頃の気持ちがぶり返したのと、水子が現れたことでまた不安定になったのだと推測して、近いうちにきちんと水子の供養とお祓いに行こうとなだめた時、ふいに壁一面に血塗れの赤ん坊が浮かぶイメージ。

Mはまた絶叫した。

「ちゃんと閉じ込めたのに!!!」

Mは流産などではなく、そう見せ掛けて産まれてきた赤ん坊の育児を放棄して死に至らしめていたのだ。

怖い話投稿:ホラーテラー イタルさん  

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