中編3
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生まれ変わり

私の可愛い妹は

もうすぐ2歳。ゆうこという名前だけど

私はユッコと呼んでいる。

「ねえたん、ねえたん」

と甘えてくる妹は

本当に可愛い。

そんな妹が突然おかしくなった。

いつものように、ユッコの大好きな

積み木遊びをしていた時

のこと。そのとき、私は

何か異様な雰囲気を

感じた。

ユッコが私の顔を

じっと見つめているのだ。

「ユッコ、どうしたの?」

私が聞いても何も

答えない。冷めた、

死んだ魚のような目で

私をじっと見つめている。

「お母さん、ユッコが

おかしいよ。」

と、あわててお母さんを

呼んでくると、

妹は、いつもどおりに

積み木遊びをしている。

「何もおかしくないじゃないの。」

お母さんも、あきれた様子で

どこかへ行ってしまい

そのときは私も

気のせいかな。なんて

思った。

でもそれから、妹の様子は

だんだんおかしくなっていった。

しかし、きまって私と

二人でいるときなのだ。

お母さんに何度うったえても信じてくれない。

「眠いときにボーッとしていることだってあるわよ。」なんて言う。

違う。

そんなんじゃないの。

あれは、なんだかユッコ

じゃない、違う人みたいな感じなんだ・・・・。

しばらくして、もっと異様なことが起こった。

ふたりで留守番しているときだった。

一緒にテレビを見ていた。

ユッコは大好きなアニメ

で、ケラケラと笑って

喜んでいたのに

急に静かになった。

ユッコは、となりにいる

私を見ていた。

ジーッとさぐるように、私の顔をにらんでいる。

「どうしたの、ユッコ。

テレビ、見ないの?」

聞いても、ユッコは何も言わず、まばたきひとつ

しない。

暗くよどんだ、精気のない目。

私は少し怖くなってきて

、妹の肩をゆすった。

「ねえ、ユッコったら!」

すると、ユッコの唇が、

かすかに動いた。

「おまえ、キライ・・・。」

幼い女の子の声じゃなかった。

低くて、不気味な声。

そしてそのあと、ユッコ

は二ヤリと笑った。

私は冷水を浴びせられた

かのように、ぞっとした。

そのとき、お母さんが帰ってきた。

ユッコは急にテレビの方を向いて、きゃっきゃと

笑いだしたのだ。

いつものユッコに戻っていた。

私は、あぜんとするばかりだった。

あの声は何だったんだろう?

妹はいったい、どうしちゃったのだろう?

それからも、たびたび妹は

変になった。

両親はまったく気づかない。

おかしくなるのは、

絶対に私の前でだけなんだ。

「お前、悪いやつ・・・。」

ある日、ユッコの口から

出たのは、そんな言葉

だった。

そのとき私は、思わず

ユッコを突き飛ばして、

泣かせてしまった。

「4年生にもなって、

妹をいじめて!」と、お母さんには怒られた。

いじめたわけじゃない。

私は本当に怖かったの!

変になってしまった

妹が・・・。

「お前のせい・・・・お前のせい・・・・。」

ユッコのしゃべる不気味な言葉も増えてきた。

いったい何のことを

言っているのか?

なぜ私を責めるのか?

でも、ユッコが変になった時のあの表情、

誰かににているような気がする。

まさか、まさか・・・・・。

私は小学生の頃、

仲良しだったアユミちゃんと遊んでいたときのこと。

親たちには、深い池が

あるから危ないから

近寄ってはいけない。

と言われていた公園へ

遊びに行った。

池の前には、さくをしてあるが、そのさくは

破れている箇所が一つあった。

私たちはそこから池が

あるところに入った。

その前日に雨が降っていたからだろう。

アユミちゃんは足を滑らせて池に落ちてしまったのだ。アユミちゃんは、

「助けてー!」と

叫んでいたが、すぐに沈んでしまって

見えなくなってしまった。

私はアユミちゃんを

助けられなかったことに

後悔して、隣でミャーミャー鳴く猫がウザくて

猫を掴んで一緒に池に

投げいれてしまった。

 その夜、ユッコは

布団に座って私の方

を見ていた。

トイレにでも行きたいのかと思い、ユッコに、

「どうしたの?」

と尋ねた。すると、ユッコの顔がみるみるうちに

あの時の猫の顔になっていった。

そして、その尖ったツメで私の首をひっかいた。

その瞬間、私は気づいた。

ユッコは、私が池に突き落とした猫の生まれ変わりだったと・・・。

怖い話投稿:ホラーテラー ゆかさん  

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