中編4
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あぜ道にて

数年前の話しです。

当時お付き合いしていた彼女と会う約束をして彼女の自宅まで車で迎えに行った時なのですが彼女の自宅は田舎の小さな村に住んでおり村の入口から彼女の自宅までの道は非常に狭く私の四駆の車では通れない為その時も遠回りをして畑のあぜ道を通って彼女の自宅に向かいました。

彼女の住む村は昔からの農村で周りは畑や田んぼばかりで街灯さえなく車のライトで何とか数十メートル先が見えるような状態でした。

もちろん細いあぜ道を走っている為ゆっくり車を進めていたわけですが少し進んでから車のライトがある白い物を照らしました。よく見ると白い羽織りを着て下は寝間着のようなパンツを履いた老人がジッとこちらを睨んでいました。夜も遅くこんな真っ暗なあぜ道で人がいること事態考えられませんでしたがそれ以前に私は明らかにその老人が私の方を睨みつけていることに恐怖を感じました。

しかし逃げるにも細いあぜ道なのでバックするのも無理がある…

私は仕方なくそのままゆっくり車を進めました。

しかしその老人はあぜ道の真ん中に突っ立ったまま避けようとはせずずっと私を睨み続けてました。やがて車が老人の数メートル先まで着てやっとその老人はすっと私の車を避けてくれました。

しかしそのまま更にその老人を横切らなければならない。私はなるべく老人の方を見ない様に真っ直ぐ進みました。

その老人はかなり背が高く助手席側の窓からは顔は見えませんでした。

そしてそのまま老人を通り過ぎホッとした次の瞬間ルームミラーで老人の姿を確認したら老人はクルッとこちらを向き私の車を歩いて追いかけ始めました。

私はめちゃめちゃ怖くなり少しスピードを上げましたが彼女の自宅はもうすぐその先でした。

私は慌てて彼女に電話をかけてもう家のすぐ近くまで来ているから家の前まで出てきて待ってもらうようお願いしました。

もしこのまま私が彼女の自宅の前で車を停め待っていればその老人とまた鉢合わせになってしまう。それだけはもう怖くて怖くて仕方がなかったのです。

しかし彼女は「え!今すぐは無理だよ!あと5分位待って」と言ったのです。

そしてとうとう彼女の自宅前に着いたのですが車のルームミラーを恐る恐る覗いてみたらうっすら白い影が見えて私はたまらず車を発進させて彼女の自宅前から離れました。

一体あの老人は何なんだ!?そもそもあれは人間なのか!?

私は心霊経験もなく幽霊などの存在は一切信じていないのですが明らかにあの老人はおかしい!

とにかく今はここから離れた方が良いと判断したんです。

そして少し離れた街灯のある道まで出てきて直ぐに彼女に電話をかけて一部始終話しました。

すると彼女は「私も怖くて家出れないよ~多分もういないと思うからもう一度回ってきて家の前まで迎えに来て」と言うのです。

私は怖かったけど彼女にも格好がつかないと言う男のプライドもあって勇気を出してもう一度あぜ道に向かいました。

まぁ、でもよく考えれば村の人がたまたま散歩していただけかもなと自分に言い聞かせながら向かっていたらまたその老人があぜ道の真ん中に突っ立ってこちらを睨んでいたんです。しかも今度は明らかに形相が険しかったのです。

私は怖かったけどさっきも普通に通り過ぎたし大丈夫だろうとそのまま車を進めました。やがて老人の真ん前まで来たのですが老人は避けようとはしません。私は怖かったけど仕方なく車を停めました。すると老人は険しい形相で何か私に怒鳴り始めました。

私は怖くて怖くてたまらなくなったのですが意外に老人があぜ道の端に避けてくれたのでそのまま車を進めました。

すると次の瞬間その老人が助手席側の窓から覗いて私に更に怒鳴りつけてくるのです。私は怖くてあぜ道なのに加速して逃げるように去りました。

そしてやっと彼女の自宅前まで来ると直ぐに彼女が車に駆け寄ってきて車に乗りました。

彼女は「大丈夫だった?」と聞いてくるのですが私は「話しは後で!とにかくここから離れよう!」と、直ぐに車を出してそこから少し離れたコンビニに入って車の中で今までの全てを話したのです。

その老人の服装、体型、そしてお坊さんのような坊主頭にあの形相。あんな暗い所を散歩するような人も考えられない!

すると、彼女が「クスクス…」と笑ったのです。

私は「何がおかしい!?」と聞くと、彼女は「もしかして私の顔に似てなかった?」

私は一瞬彼女が何を言ってるか分からなかったのですがその質問に対し、冷静に考えると確かに似ていた。

彼女が「それ私のお父さんだよ」

実は数日前に彼女の下着が盗まれたそうでお父さんは小さな村なので見なれない私の車がこんな時間に走っているのに疑惑を持った為注意しようとするつもりだったそうです。

私はその時、この彼女の所には絶対に挨拶には行けないなぁと思いました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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