短編2
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『タイムマシン』

タイムマシン

それは全人類の憧れ

アインシュタインの相対性理論に基づくと、造ることは可能だという

光よりも早く進む物質とエネルギーがあればという条件だが──

「完成したぞ!!

これで長年の夢が叶うぞ。」

エネルギー源となるカプセルをはめこむと、博士は目を輝かせた。

「物理学的に過去にもどることはできないが、未来へ移行することはできるってことが、これで証明される!」

博士は、用意していた荷物をタイムマシンに詰め込むと、早速乗り込んだ。

『おおっと、そこまでだ。そいつを渡してもらおうか。』

「誰だ?!」

『あんたが、タイムマシンを作ってるって聞いてねぇ、完成するのをずっと待ってたんだよ。』

男は銃口を博士に向けたまま、押し殺した笑いを浮かべた。

「貴様ぁ…。」

博士はギリギリと奥歯を噛みしめ、マシンから外に出る。

かつて博士のライバルだった元研究員の男は、勝ち誇ったかのように、乗り込んだ。

ピ・ピ・ピ

操作を始めると、エネルギーの数値が最大値を示し、マシン全体が振動し始める。

『まず、手始めに30年後だな。あばよ!未来で会おうな。ハッハッハッ!!』

ギュン

ギュン

ギュン

バシュー!!

──博士はまだ気付いていなかった。

未来へは行けるが、過去には行けない。

つまり、二度と戻ってはこれないこと。

造った本人がわかっていないのだから、男が知るはずもない。

『クックックッ、到着したぞ。この時代を調べて、今後の研究材料にしよう。」

博士は、もうひとつ気付いていなかったことがある。

自分自身の肉体は、未来へ転送できないことを。

もちろん、男もまだ……。

「あの家、お化けが出るらしいぜ。」

「あっ、それ知ってる!

30年前に実験で失敗した男の幽霊でしょ?」

「夜になると、『チクショウ…』って声が聞こえるらしいぞ。相当恨んでるんだな!」

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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