短編2
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僕が小学5年生のころ。

いつものように学校へ行き、いつものように友達と遊び、いつものように女子に怒られて、いつものように学校をあとにして、いつものように家に帰った。

いつもならお母さんが「おかえり」と廊下の奥にある台所から声をかけてくれるはずなのに。

その声がなかった。

僕は?と思いながらも、いつものように「ただいま」と言い、いつものように2階にある自分の部屋にランドセルを置き、いつものように階段を駆け下りて遊びにいことしたその時。

廊下の奥にある台所から ゴトリ という音がした。

お母さん居たのかな?と思った僕は台所を覗いてみた。

テーブルの真ん中には林檎があった。

その林檎に包丁が縦に突き刺さり、林檎を貫通してテーブルにまで届いていた。

テーブルの上の林檎と包丁の周りには、赤い色鉛筆、赤いマジック、妹の使う赤いクレヨン、赤い口紅で、テーブルいっぱいに

わたしはおかあさん

わたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさんわたしはおかあさん

と隙間なく書かれていた。

僕は怖くて怖くて泣き出してしまった。

夕方になり、妹が幼稚園バスに揺られ帰ってきた。

家の外で、妹と僕は二人でお父さんの帰りを待った。

日が暮れる前にお父さんが帰ってきて僕は泣きながら抱きついた。

妹は眠ってしまっていた。

お父さんは?という顔をしていたが、台所を見てお父さんも泣き出してしまった。

お父さんは「あぁ・・・」一言だけポツリというと、僕と妹を抱きしめ泣いていた。

あの日以来、僕はお母さんに会っていない。

怖い話投稿:ホラーテラー msさん  

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