短編2
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父の存在

私は小さい頃から父が

大嫌いだった。

よく酷い仕打ちもしていたものだ。

中学へ入学し、そんな厳しい父から遠ざけるように、私はヤンキー等とつるむようになった。

朝帰りは当たり前。

学校にはたまに行く位。

警察にもお世話なりっぱなし。

女同士取っ組み合い。

激怒するんじゃないかと思った裏腹に、父は私に何も言って来なかった。

かりかりしてた私だけども

本当は怒ってほしかったみたい。

中学を卒業すると同時にヤンキー等と過ごす毎日に嫌気がさし、年上の彼氏と同棲を始めた。

高校も行かず就職もせず誰かにすがっている私。

お父さんどう思ってるかな?

1年が経ち彼氏とも順調な毎日を送っていた。

相変わらず父とは連絡すらとっていない。

ある日の夜、変な夢を見た。

「あゆみ…あゆみ。聞こえるか?」

(私の名前(仮))

誰かが私の名前を呼ぶ。

眠たい目を擦りながら顔を上げた。

「あゆみ…よく聞くんだ。

俺への時間は後わずかだ。」

私は訳が分からないまま、ただ黙っていた。

「今まで厳しく育ててきてごめんな。

優しいお父さんじゃなくてごめんな。

でもな、お前を嫌って厳しくした訳ではない。

お前は自慢の娘だ。

俺の誇りだよ。」

目頭が熱くなり、胸にガツンときた。

夢の中なら

ごめんね

が言える気がした。

でも夢の中の父は

もう

居なかった。

目が覚め、久々に実家に帰ろうと思った。

バイトもあったので

次の休みに行く事に。

休日、実家へ向かうあしどりは重く、少し緊張気味だった。

家に入る。

久しぶりの我が家の匂いは

懐かしく感じさせる。

居間に行くと泣いている母の姿があった。

「どうしたの?」

と尋ねる私に母は口を開いた。

「3日前お父さんは死んじゃったんだよ」

すさまじい事故に巻き込まれた

と。

母は又泣き出した。

私も泣いた。子供のように

「ごめんね…。」

お父さん、言いたい事言えない親不孝な娘だけどあの時、お父さん言ってくれたね。

自慢の娘だ

あの夢でお父さんの気持ち伝えてくれてありがとう。

私は照れ臭くて言えないや。

だけど

今なら

ごめんね

と言えるよ。

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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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