中編3
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膨らみ

一年前の夏の日の出来事です。

俺の家の前には墓地があり、

夜はいつもどことなく不気味な雰囲気でした。

その日は両親がどちらとも帰りが遅く、

姉は寮で生活しているので

俺一人で家にいました。

夜の11時ぐらいだったでしょうか。

誰もいないはずの姉の部屋から「ゴトッガサガサ」

と音が聞こえました。

時間も時間ですし、なんせ家にいま俺一人なわけですから、

さすがに恐怖を感じました。

そしてゴキブリかねずみの仕業だろうと、

必死で思い込むことにしたのです。

気を取り直してテレビを見ていましたが、

あの音が聞こえてから5分後くらいに

姉の部屋の押入れ?らしきものの戸を開ける音が聞こえました。

そのとき一瞬で、ゴキブリやねずみなんかじゃない・・・。

という事が把握できました。

見に行こうか、どうしようか迷っていると、

時間はもう12時20分を回っていました。

もう眠たかったのと、しばらくあの音が聞こえてないという事から、

恐怖心が少し薄れたので

見に行くことにしました。

姉の部屋は2階にあり、俺の部屋はその隣にあります。

姉の部屋にはベランダがあり、

そこはうすい赤色のカーテンでしきられています。

ドアは押すではなく横から開けるタイプになっています。

俺は怖かったのですが、このまま何も確認せずに寝るほうがむしろ怖かったので

何もないことを祈り、恐る恐るドアを開けてみました。

さすがに電気をつける勇気はなかったので懐中電灯で中を照らしてみることにしました。

一通り照らして見ましたが、特に変わった様子はありません。

なんだ・・・ただのそらみみか?と思いながら、

まだ照らしていなかった薄い赤色のカーテンを照らしたとき、背筋が凍りつきました。

カーテンに、明らかな「膨らみ」があったのです。

それも俺の身長よりはるかに大きく、

カーテンの一番上のところまで膨らんでいて、人がいるような形になっていたのです。

そして、カーテンの下側を照らしたとき、

俺の恐怖は確信へと変わりました。

カーテンと床のわずかな隙間。

そこから腐敗したようにところどころただれた、血のついた紫色の両足がのぞいていたのです。

俺はすぐに懐中電灯を消し、

ドアは開けっ放しで必死で自分の部屋の布団の中にもぐりこみました。

親が早く帰って来る事を必死で祈っていました。

すると姉の部屋から

「ズリ・・・ズリ・・」

と何かがやってくるような音が聞こえてきました。

俺はもう恐怖でどうにかなりそうでしたが、

必死で早く誰か帰ってきて!!と祈っていました。

音は俺の部屋の前でとまりました。

俺はもう息をする音すらも恐怖に感じ、

高鳴る心臓をおさえて息を殺して布団の中で震えていました。

しかし何者かが歩く音が俺の部屋の前で止まってから30分近くはたったはずなのに、

ドアを開ける音もなければ、歩く音すらもしません。

え・・・?帰った?

何故かそんなことを思いました。

布団をほんの数センチ持ち上げ、ドアを確認しようとしたその時でした。

先ほどの腐敗した両足が目の前にあったのです。

それから気絶したのでしょうか。

気づくともう朝になっていました。

時計を見ると朝の7時15分。

昨日のは夢だったのだろうか・・・。

そんなことを思っていると一階から「早く起きなさーい」という母親の声が聞こえました。

昨日の緊張と恐怖が一瞬でほぐれ、急いで一階におりようとしたとき、

昨日閉め忘れていた姉の部屋のドアから、あのカーテンが目に入りました。

ただ、そのときはもう膨らみは消えていました。

昨日の出来事を両親に話しても当然信じてもらえませんでした。

しかし、あれは一体なんだったのでしょうか。

もし幽霊だったとしたら、何かを俺に伝えようとしていたのでしょうか。

それとも、誰かを探していたのでしょうか。

あの体験から一年たった今、時々ふと、そう思う時があります。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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