中編4
  • 表示切替
  • 使い方

イモリ と ヤモリ

皆さん 突然ですが

イモリ と ヤモリ

の 違いってわかります?

イモリ(井守)は両生類で、水辺に生息し、腹部が赤いのが特徴です。

ヤモリ(家守)は爬虫類で、トカゲなんかと近い仲間です。

僕は以前、静岡県大井川の山奥、とても小さな村に住んでいました。昔は単なる集落で、下流の町に水害が起こることを防ぐ、治水の為に町の人が交代で寝起きする場所だったらしいです。

集落のリーダーは川守(カワモリ)

その下に、町の人の面倒を見る世話人が居て家守(イエモリ)

川から生活用水を引いて管理する人が井戸守(イドモリ)

と呼ばれていたそうです。

僕の家は村の一番表にあり、親友のアキラちゃんの家は一番裏にありました。

僕は家守の筋、アキラちゃんは井戸守の筋だったんです。

そんな家系なので、敷きたりやらが大変厳しく、幼い頃から制約ばかりで辛い思いをしてきました。

それはアキラちゃんも同様で、僕達は知り合うとすぐに仲良くなりました。

遊び場は大体決まっていて、僕の家の裏にある広場か、アキラちゃんの家の近くにある池で遊んでました。

何故かと言うと、どちらにも立派な祠があって、それぞれに安全祈願?の御守りみたいな物が祀られていて、なぜか気になるんです。

その御守りは必ず一日おきに交換しなければいけません。

御守りはけっこう大きくて、薄く斑尾模様をほったアルミの弁当箱に白い針金を十字に巻いたような、ヘンな物でした。

御守りを運ぶおじいちゃんによく、

「開けるなよ!」

と言われました。

僕とアキラちゃんは町にある高校に進学し、将来について語り合うようになりました。

しかし僕達は敷きたりに従って、家を継がなければなりません。

それが嫌で、僕達はとうとう家出を決行しました。

二つの御守りを持って。

敷きたりやらシガラミはみんな無くなればいい

おじいちゃん ごめんね

何時間たったのでしょうか

いつの間にか僕たちは、街にあるホームセンターの駐車場にいました。

お店でペンチを手に入れ、必死で二つのお守りを壊すことに夢中になっていました。

それはなかなか頑丈なものでしたが、一方だけなんとか中身を取り出すことに成功しました。

中には白い砂がぎっしりと詰まっていて 黒光りしている飴玉 のようなものがたった一粒おさめられていました。

僕は突然我に帰ったように冷静になりました。

ふと、アキラちゃんを見ると なんだか様子がおかしい・・・

時折、口を金魚のようにパクパクさせながら、首を左右に ゆ  っくり と彷徨わせています。

「ア、アキラちゃん?」

僕が声を発するのとほぼ同時に、アキラちゃんは 黒い飴玉(のようなもの) を口に含み、そして飲み込みました。

少し  微 笑 ん で

目の 前 が暗 く なる視 界が  歪 む

「やっと見つけたぞ!オラ!」

声 がトオ クデ キ コエ ル

気がつくと、村の集会場で横になっていました。

僕の傍らには川守である、タケルさんが座っていました。

「お前の家族は全滅した。お前を護ろうとして全員死んだよ。家守の者として、けじめをつけてくれ。」

意味ガワカラナイ 理解デキナイ

差し出された 白い飴玉(のようなもの) 部屋の隅には封を解かれたお守り

僕の視線の先に何があるか気づき、タケルさんが口を開きます。

「あれはお守りなんかじゃない。イモリとヤモリだよ。お前ら筋の者は身体を捧げなくてはならない。今回の事はお前らのせいじゃない。多分、この村は近い将来消える。イモリとヤモリは外に出たかったんだろう。お前とアキラのように。」

混乱する頭の中で、おじいちゃんの声が聞こえたような気がしました。

「開けるなよ!」

おじいちゃん ごめんね

そして僕は差し出された 白い飴玉(のようなもの) を飲み込みました。

僕は アキラちゃんのように少し微笑んでから、タケルさんを べました。

タケルさんは覚悟していたようでした。

集会場を飛び出し、村の人たちを手当たり次第に べました。

不思議とお腹はいっぱいになりませんでした。

小さな村なので、数時間で人気が無くなりましたが、

池のほうに気配を感じ歩いてゆくと そこにはアキラちゃんが きれいな赤 に包まれて佇んでいました。

僕は声をかけようとしましたが、声が出ません。

アキラちゃんは僕に気づき、ニコリ と頬をほころばせました。

僕は うまく笑えませんでした。

そして、お互いの身体を

倒れたアキラちゃんの耳から何かが するり と出てゆくのが見えたような気がします。

そして 僕の耳からも

僕の身体が横たわっている。

僕は 森へ アキラちゃんは 池へ

苦痛 悶絶 その後 私は、誰の者とも知れない記憶(夢?)に暫く脳内を支配されていた。

家族 悲哀 怨念 運命

どれも うまく 当てはまらない

しかし、山奥のダムに身を投げた私には どうでもよいことであった。

湖底にうっすらと村が見えた気がした。

怖い話投稿:ホラーテラー ジロウさん  

Concrete
コメント怖い
1
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

おもしろかったです!!こういう物語すきです!
読んであげたひとにも
好評でした!

返信