短編2
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椅据之織(中)

「お母から聞いてんけど…あの布は「イスノエキ」て言うらしいよ。月に一回「堕人」て言う霊を導くためにつけてるらしい」

ここで気づきました。

月に一回はあの布を取り替えてる事と…

足音の様な(ジャギ)と言う音が響き渡る事を。

子供三人で夜中と言う事もあり

恐怖心から明かりを点けたまま寝てしまい

気づけば朝になっていました。

私達が泊まった目的は

氷作りの見学だったので

まだ薄暗い6時頃から

渓流を上がって行きました。

普段は行かない道にワクワクしつつ

静寂に包まれた山道を

足早に駆けて行く途中

渓流を挟んだ向こう側に揺れる「赤」がチラつきました。

私は直ぐに昨日の恐怖に足が止まってしまい

シンゴ君のリュックを掴みました。

シンゴ君「何すんねん!」

しかし私は言葉を発せれず

指先だけをその恐怖に向けると

シンゴ君は理解してくれて

顔を横に向けた瞬間

「うわぁあ!!」と叫び下がって行きました。

それに驚いた私とユウキ君はパニックに陥り

泣きじゃくるだけで身動きは取れず

精一杯の力で互いを掴んでいました。

何分経ったかはわかりませんが

「どないしたんや!」

と言う声と共に氷屋のおじさん達が見え

すっかり明るくなっており安堵しきってしまい

その恐怖の的を直視しました。やはり、そこには木と木の隙間に覗く赤「椅据之織」。

また恐怖にかられ、おじさんにしがみついた時

おじさん「シンゴはおらんのか!?お前ら二人だけか!?」

ユウキ君「シンゴは走って下行きよった(泣)」

おじさん「まずいな…この子ら小屋連れてけ!」

と弟子のエイジさんに言い駆け足で下がって行きました。

小屋に着いた途端

私達二人は閉じ込められ、

またパニックになりかけた時

エイジ「大丈夫や、ここにおるから。それよか何見たん?」

私「赤い布が見えて怖かった」

エイジ「ん!?それだけか?」

私「うん…多分シンゴも」

と同時に扉が開き

エイジさんが「良かった」と笑みを浮かべてくれたんですが

束の間でした。

軽に乗ったおじさんと私達3人の親

計4人が来ました。

僕とユウキ君の親は安心したと言う顔でしたが

シンゴ君のお母さんだけ

泣き崩れていました。

おじさん「大丈夫やから!お母さん泣きな!シンゴが帰って来づらいやろ、な?」

と言っていたのが鮮明でした。

私達は麓へ降り各自家へと帰ったのですが…

事件はその日の午後2時に起きました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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