短編2
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迫り来る者

ここ最近夜も暑くてたまらん。

俺は汗を流すため、シャワーを浴びていた。

「ふぅ~、さっぱり」

『ぷしゅっ』

お決まりの風呂上がりのビールを飲みながら、ケータイを見た。

着信5件。

留守電を聞いてみると。

1件目。

『どうも~、山田です~。今、あなたの住んでいるマンションの駐車場にいますよ~。』

山田?誰だ?

知り合いに山田さんは5人はいる。

どいつだ。

いや、5人とも連絡先は知ってる。

…とりあえず続きを聞いてみるか。

2件目。

『どうも~、山田です~。今、あなたの住んでいるマンションの階段を昇っていますよ~。…ふぅ、2階に着きましたねぇ。』

声は中年くらいの男だ。

いたずらなのだろうか…

3件目。

『どうも~、山田です~。今3階に着きましたよ~。』

4件目。

『どうも~、山田です~。今4階に着きましたよ~。』

4階は俺の住んでる階だ…

5件目。

『はぁ…はぁ…どうも~、山田です~。はぁ…はぁ…ん~…疲れましたねぇ~。

今、あなたの部屋の前にいますよ~。はぁ…はぁ…』

なんなんだ。

激しく気持ちが悪い。

ストーカーなら尚更気持ち悪いが…今家の前だと?

俺はタオル一枚腰に巻いてるだけだったが、とりあえず玄関に向かった。

恐る恐る覗き穴を覗いてみる。

ドアの向こうには中年くらいのポッチャリ男がいる。

手には黒いケータイを持っている。

その時、俺のケータイが鳴った。

「…もしもし?」

『どうも~、山田です~。早く開けてくださいよ~。』

「あんた何者だ?いたずらなら警察に突き出すぞ」

『ピッ…ツーツーツー』

切りやがった。

急いでドアを開けると

『あっ』

「あっ、じゃねぇ。誰だてめぇ」

『そんな格好してると危ないですよ~?』

「てめぇ!!ふざけてんのか!?ぶっ飛ばすぞ!!」

バッ

そいつは腰に巻いていた俺のタオルを奪うと、ニヤリとして猛ダッシュで逃げて行った。

俺は何が起きたのかわからず、ただ呆然とその場で立ち尽くしていた。

後日、そいつは同じ会社の社員であることがわかった。

目が合うたびにニヤニヤしていて、暑いはずなのに俺は毎日寒気がしていた。

幽霊より人間の方が怖いと思った出来事だった。

明日も会社で会うのだろう…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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