中編3
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キリスト

はじめまして。

まず僕自身には霊感や霊体験がないことをお断りします。

そして、私の話が聞いたことを可能な限り(記憶の限りですが)正確に伝えていることをお約束いたします。

これは僕が中学生の頃、当時の家庭教師から聞いた話です。 

その家庭教師はいわゆる宗教系の大学に通ってる方で、

その手の話には事欠かきませんでした。

中でも特に「本当の話」として強調された話を紹介します。

その人の先輩、性格には大学の部活のOBの人の話なんですが、当時付き合っている彼女がいたそうです。

本当に中のよい二人で、付き合って2年が経ち、若いながらも結婚を意識したお付き合いだったそうです。

そんな彼女とある雨の日に美術館に行ったそうなんですが、ちょうどその時期は西洋絵画展のような特集が組まれていたそうです。

で、二人でひそひそと「あの絵なら俺の方がうまい」とか「この絵いくらするんだろうね」とか

他愛もない話をしながら

デートを楽しんでいたそうです。

その展示の中でもひときわ大きな絵の前に立った瞬間、その先輩は何か違和感を感じたそうです。

その絵は、よくある十字架に磔にされたキリストの絵。 教科書とかに出てそうな感じの絵でした。

ただ、先輩は特に美術に詳しいわけでもないし、普段見ないものであるため別段その時は気になりませんでした。

美術館を出て、二人で一つの傘を差して歩いてました。

そこで先輩は、最後に見た絵に感じた違和感を思い出したそうです。

隣を歩いている彼女に尋ねたそうです。

「あの最後のキリストの絵ってさ、なんか顔おかしくなかった?歪んでるっていうかさ・・・」

「・・・。」

彼女は立ち止まりうつむいたまま無言になってしまったそうです。

不審に感じた先輩が顔を近づけて様子を伺うと、

傘を差しているはずの髪の毛が濡れていました。

声の出ないような悪寒に包まれたと思った瞬間、彼女から聞いたこともない声が発せられたそうです。

「何故気付いた?」と。

明らかに女性の声ではなかったそうです。

低い、耳に入ってくる、通る声だったそうです。

驚いた先輩が彼女の肩を掴んで顔を見た瞬間、彼女の目は充血して真っ赤に。

目を合わせた瞬間彼女は失神したそうです。

家庭教師はそこまで話すと「理由とか何でかはさっぱり分からんし、詳しく知ってはいけないことだから深くは話さないけど」と前置きを置いた後にその後の二人に起きたことを教えてくれました。

まず彼女。亡くなったそうです。 交通事故だったそうですが、跳ね飛ばされた先のガードレールに首からぶつかり、頭と胴体が切り離される悲惨な事故だったそうです。

そして、「気付いてしまった」先輩。

この方は(当時ですが)生きていたそうです。

ただし、彼女の死から3年後、海外で鮫に襲われ右肩から先を失ったそうです。

もっと詳しい話があるようでしたが、家庭教師が教えてくれたのはここまででした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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