中編5
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床屋さんの特許

長いです。注意して下さい。

某中学校にA君という子がいました。彼の友達のB君は髪型が自慢で、彼はそれをいつもうらやんでいました。

そしてある日、勇気をだしてA君は言いました。

「ねぇ、B君って、何処の美容院行ってるの?」

するとB君はこう答えたのです。

「美容院?そんなとこ行ってるわけないじゃん。近くの床屋だよ。」

床屋?A君は疑問に思いました。かなりキマッてるけどなぁ〜・・と。

そしてB君の話だとどうやら自分の家からも近いようなのでA君はその床屋に行ってみることにしたのです。

翌日。A君は例の床屋へ行く途中昨日の話を思い返していました。

「床屋の事?そうだなぁ〜俺は前からその床屋しか行った事ないんだよね〜。でもね〜店員は一人だけなんだよ。元気で話しやすいオッサンだよ。いけばお前もすぐ慣れるよきっと。」

「ふ〜ん・・・・」

A君は床屋の前につき、それを見上げました。

「・・・・ボロいな。」

まあいいか、とガラス製のドアを押し開け、中へ入りました。

ちりんちり〜ん・・・

「お、いらっしゃい。見ない顔だねぇ。引越してきたのかい?」

奥から例のオッサンととれる人物が顔をだしました。

「いえ、B君の紹介で来ました。散髪お願いします。」

「ははは、礼儀正しい子じゃないか!あんなやつがこんなに良い友達を持っていたとはなぁ。」

「・・・。」

元気がありすぎて俺には向いてないな・・A君は思いました。

そして散髪がはじまったのです。

「ちょっといいかい?」

「・・・・んわっ!?」

「ああ〜悪い!ウチのやり方は変わってるからなあ〜お客さんには見せられないんだよ。特許ってやつだ。悪いけどそれつけといてくれ。見ちゃダメだぞ?」

「はい・・・」

ただのアイマスクか・・すごい声がでたな・・恥ずかしい・・

B君は昔からここで散髪していたのでアイマスクに違和感は感じなかったのでしょう。

A君は自分(と非常識なB君)に苛立ちながらも、オッサンの言う事に従いました。

言うだけあって変わった散髪でした。どうやらハサミで切っているわけでもなく、いくつかの「何か」が髪の毛を切り整えていくという感じでした。

A君はその「何か」のせいで首筋に嫌な物を覚え、とうとうオッサンと話すらできませんでした。

「はい、終わったよ。」

オッサンの一声で「何か」から解放されたA君は、アイマスクを取り鏡に映る自分を見て驚きました。

「・・・スゲェ!!」

「だろう?オジサンも今日は調子が良くてなあ!ハッハッハッ!!」

その後A君は料金を支払って家へと有頂天気分で帰りました。そして家で家族に存分にその髪型を自慢したあと、お風呂に入ってすぐに眠りにつきました。

不思議なことに髪型はお風呂上がりにも崩れてはいませんでした。

翌朝。マイルームのベッドで目覚めた彼は眠気が一気にぶっ飛ぶ光景を目の当たりにしたのです。

翌朝。

目覚ましの音が響こうとしているA君の部屋のなかで異変がおこっていたのです・・・

「A〜遅刻するわよ〜。起きなさ〜い。」

「ん〜・・・。」

「全く・・・。」

ガチャリ。

「A!起きな・・・」

「ぎぁぁああ!!!」

母親の悲鳴に、はっ!と目覚めたA君は自分の目に映る光景に戸惑いを隠せませんでした。

A君の部屋の何から何までが裁ち切られていたのです。カーテンも、お気に入りの洋服も、何もかも・・・。

「A!!あんた何したの!?」

「何もしてないよ!!」

「じゃあこれは何!?どういう事!?説明しなさい!!」

「知らないってば!!」

親子揃ってパニックに陥りました。

するとそこへ・・

「どうしたんだ〜」

「ああ!!お父さん!!Aが!Aがぁ・・」

お母さんはお父さんに泣きすがりました。

「なんだこれは・・・!?A!お前何したんだ!」

お父さんは声をあらげます。

「だから知らないって・・・!」

「・・・仕方ない。今日はとりあえず学校に行きなさい。この事は誰にも言うんじゃないぞ。先生にもだ。いいな。」

世間に騒ぎを起こしたくないお父さんはそう言いました。実際、A君も同じような事を考えていました。

「・・・はい。」

A君は渋々言う事を聞き、学校へ行きました。

どうもむず痒い一日でしたが、A君はなんとか帰宅まで持ちこたえ、まだボロボロの部屋のベッドにつき、その日を終えたのです。

翌朝。床屋に行って二日後。

ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!

「うー・・朝かぁ・・・・・ん・・!?」

一瞬の不安は恐怖と落胆に変わりました。

部屋はさらにひどい状態になっていたのです。布類ではなく無傷であった机や椅子、大好きなフィギュアまで何かに食いちぎられたかのように切れていました。

「ウソだろ・・・。」

起きようともせず寝たままベッドにへたれこんだA君はハッとして、

「これが親に知れたらマズすぎる!!」

と思いました。

そそくさとリビングへ入りこみ、

「起きたよ〜。」

とお母さんに声をかけました。

「はーい。」

返事を聞いた瞬間、A君安堵のため息をつきました。

基本、自分を起こす時以外は親は彼の部屋には入らない事をA君は知っていたのです。

「これでひとまず安心だな・・。」

そしてその日は特に妙な事はこれ以外には起こりませんでした。

そうしてA君は日々を過ごしていき、日に日に

「だんだん自分の部屋がひどくなっているような・・・」

という心配を抱えながらも、普段通りの生活を送っていったのです。

ある日。「A、あんた髪長くなったんじゃない?床屋にでもいってきなさい。お金あげるから。」

休みの日にお母さんが言いました。

「わかった。」

最近のびつつある髪に少々不満を抱いていたA君は、何を言う事もないので例の床屋へと出かけました。

「・・・やっぱボロい・・・俺の部屋ほどでもないけどな。」

そんな独り言をつぶやいて、またガラス製のドアを押し開けました。

ちりんちり〜ん・・・

続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー ちょみおさん  

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