短編2
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オヤッサンのラーメン

(隣街に、美味しいラーメン屋がある。)

そんな噂を聞いて、僕もそのラーメン屋に行って見た。

店内は、常連客らしき人達がいっぱいで、確かに繁盛していた。

僕は、その店のオリジナルラーメンを注文した。

出てきたラーメンは、味も見た目も何処にでもあるような、強いていうなら、チャーシューが厚くて、柔らかい、それくらいしか特徴がない普通のラーメンだった。

僕は、期待外れにがっかりして店をでた。

ところが、一週間ほどすると、僕は、またあのラーメンが無性に食べたくなってしまった。近くに美味しいラーメン屋はいっぱいあるのに、僕は、わざわざ隣街まで足を運んだ。

そんなことが続き、僕は週末にはその店に行く常連客になっていた。

店に行ったある時、僕は、店の店主のオヤッサンに話しかけた。

「週末になると、いつもここのラーメンを食べたくなるんですよ。不思議てすね。」

初老のオヤッサンは、髪に白いものが目立つ。苦労を重ねてきた証拠だ。

右腕には、刺青がある若いころは、ヤンチャだったんだろう。

オヤッサン

「お客さん、俺はねぇ、ラーメンに精一杯の気持ちを入れてんだ。だから、何度でもこのラーメンを食いたくなるんですわぁ」

精一杯の気持ちか!

僕は、なんだか楽しい気分になり、スキップしながら家路についた。

次の週末、いつものように店に行くと、店は閉まっていた。

あんなに繁盛していた店がやってないなんておかしいな、そう思いながら、店の前で座っていると、向こうからフラフラと顔見知りの常連客が歩いてきた。僕は、常連客に聞いてみた。

「今日は休みですかね、珍しい。」

常連客は驚いた顔で言った。

常連客

「お前知らないの、この店のオヤッサン、覚醒剤をいっぱい持っててさ、警察に捕まったんだぜ。」

そして、僕に近づき小声で言った。

常連客

「だけどよ、オヤッサンの体からは、薬が検出されなかったんだってよ。」

常連客は、にやりと意味ありげな笑いを残し、又フラフラと立ち去った。

精一杯の気持ちねぇ…

僕の体が、オヤッサンのラーメンを求める理由が、今はっきりと分かった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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もうラーメン食べられませんわ...怖い