中編3
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東〇坊

先日あの自殺で有名な東〇坊へと車で4時間半かかって遊びに行った。

本当の目的は、その地で売られている石の原石を買いに行きたいが為、その地を訪れたのだ。

少々東〇坊へ足を運ぶのは躊躇したのだが、念願の物を買う為、致し方なかった。

〇〇県に入った東〇坊に何より近い旅館に泊まったのだが、妙に館全体がカビ臭かった。

ゆっくり露天風呂で疲れを癒し、その後部屋に戻ろうとしたら廊下に敷き詰めてある赤い絨毯の先を見ると、何やら白いふわっとした犬が目の前を横切った。

目にしたのは私だけでなく、家族も目に入ったので「可愛いね」と言って小走りにその犬を追いかけた。

その犬が通って行った先は行き止まりになっていて、白い犬の姿は何処にもない。

二人で「何処に行ったの?」と言って辺りを見回しても入り込む場所や部屋などもなく、ただの壁だけだった。

暫くそこで呆然として立っていると「ガルルルル!」と怒った犬の唸り声が聞こえるが何処にも白い犬は見つからない。

怖くなって「キャーキャー」言いながら自分達の部屋に戻ろうとするが、迷路のようで一向に部屋が見つからない。

不景気のせいもあって従業員も少なく、やっと見つけて部屋へ案内してもらって戻ることが出来た。

奇妙なのは、一旦部屋から出るとなかやか部屋に戻れないのだ。

部屋の中にもなぜか御札のような物が立て掛けてある。

うわっ、不気味だと思った私はいつしか教えてもらった方法で、変な霊が出て来ないよう部屋の四隅に結界のような物を張った。

朝まで熟睡は出来なかったものの、何事も無く朝を迎えた。

チェックアウトしていざ東〇坊へ向かう時に、ロビーにある喫茶に目が止まりコーヒーを飲みたくなったので受け付けのおっさんに頼んでコーヒーを入れてもらったのだ。

決して綺麗な旅館では無かったが、従業員は愛想が良く私はコーヒーを飲みながら「ここって自殺の有名な場所なんですよね?」と笑いながらおっさんに話かけた。

おっさんは「ああ、知ってみえるんですか?あんまり言わない方が良いこともあるんですが、知ってるんだったら話しますね」と言う。

そのおっさんが話すには、昔から自殺で有名なんだが、今の方が自殺者が多く派遣で仕事を切られた人やリストラにあった人などが多いそうだ。

話を聞いているうちに両肩が重く何かがのし掛かってくるのが分かる。

それ以上おっさんが話すと私に寄ってくるっと心で叫んでも、おっさんには分かる訳はない。

更に、今その東〇坊は昔警察官だった人達が自殺する人を止めようとパトロールを行っていると話す。

話が終わりその旅館を出てすぐ、自分の方法で身に付けた重くのし掛かっている霊を祓うもスッと楽になった。

目的の東〇坊へ着くも、先早に買いたい原石の石を買う為、その店へ向かった。

ホッとした。身体中が浄化されるようだった。

値は張ったが、一つ目に止まる原石の石があり、自分と同化するかのようだったので、すぐさまそれに決めて持ち帰ることにした。

その場から遠ざかるまでは何とか石のお陰で何も憑いて来ることはなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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