中編3
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黒電話

初投稿です。長文乱文失礼します。

十年ほど前に友人から聞いた話をアレンジしました。

怖くなかったらすみません。

ある家にAという男が引っ越してきた。

玄関を入って正面の部屋がキッチン。

左手にはリビングがあり、右が寝室という小さな一戸建てだ。

安い家賃で人気の市営住宅だったので、ダメもとで問い合わせたところ運良く入居できた。

一人暮らしで荷物も少なかったため、新居の片付けは思いの外早く進んだが、早朝からの慣れない作業でAは疲れきっていた。

『細かい整理は明日にしよう』

切りのいいところで片付けを中断し、風呂を済ませて寝室へ向かう。

布団に入りウトウトし始めた頃、少し離れた所で電話が鳴った。

枕元の目覚ましで時間を確認すると午前1時を過ぎている。

『こんな時間に誰だよ…って、あれ?』

離れた所で鳴ったはずの携帯は目覚ましの隣にあり、鳴った様子はない。

それによく考えてみると…

聞こえたのは黒電話の音。

黒電話を使う家庭なんてもう殆どないだろうし、Aの家にも勿論ない。

『近所か?今時珍しいな。でも音がでかすぎだよ…ったく』

この時は気にも止めずAは再び眠りについた。

翌日、あらかた片付けが済んだところでAは近所へ挨拶に向かった。

『初めまして。昨日引っ越してきたAと言います』

「あら、初めまして。わからないことがあったら遠慮なく聞いてくださいね」

出てきたのは40代くらいのKさんという女性だった。

『(昨日の電話…。もしかしたらこの家かな)』

『あの、もしかしてKさんのお宅は黒電話とか置いてますか?』

「黒電話?いえ、うちにはありませんけど…。黒電話がどうかしたんですか?」

『あ、いえ。夕べ黒電話の音が聞こえたので懐かしいなぁと思って』

「そうなんですか。でも家の中まで音が届くなんて、よっぽど大きな音なんですね(笑)」

この後他の家の住人にも軽く話を聞いてみたが、黒電話を置いている家庭はないようだった。

その夜も電話の音が聞こえた。

『またかよ…』

Aは頭まで布団をかぶり音を遮って眠った。

しかし次の夜もその次の夜も…

黒電話は鳴り続けた。

『くそっ!毎晩毎晩どの家だよ…』

頭にきたAは外に出てどの家で電話が鳴っているのか確認することにした。

Aが外に出ると…

音は聞こえない。

どの家も灯りが消え寝静まっているようだった。

『(もう切れたのか?)』

そう思い寝室へ戻ると、やはり電話の音がする。

『(もしかして…この部屋から?)』

いてもたってもいられなくなったAは、寝室中を耳をすませて歩き回った。

『(どこだ?一体どこから…)』

テレビの下、タンスの後ろ、本棚の後ろ…

あちこち見たがそれらしいものは見当たらない。

電話はまだ鳴っている。

『あと残ってるのは押入れか?』

押入れを開けるが何もない。

しかし微かに音が大きくなった。

『押入れの…向こう?』

押入れの壁に耳をつけると、確かにそこから音がしているようだった。

Aが音の出所に気付くと電話は鳴りやんだ。

翌日Aは管理会社に事情を話し、押入れを調べてもらうことにした。

昨夜は暗くてわからなかったが、押入れの板の色が一枚だけ微妙に違う。

その板を剥がしてみる。すると…

板の向こうから現れたのは黄色いビニール袋と黒電話。

Aがビニール袋を手に取ろうとした瞬間、黒電話が鳴った。

突然の事に驚きながらも受話器をとると女の声が聞こえた。

「やっと出てくれた…」

するとビニール袋が倒れ、何か丸いものが転がった。

切断された女の頭部。

見開いた目でAを睨んでいた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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