自分のある夜の夢の中で、私は同年代くらいの一人の男性にあった。
笑顔で会話をしたり、私の地元をめぐったり、楽しかった。
しかしいくら夢とはいえ、別れの時間が来てしまった。
私たちは駅の改札前にいて、「さようなら」と彼に別れを言った。
すると彼が、腕を掴んで「行くな!」と私を止めた。
でも行かなくちゃ…
私はその腕を強く振り払った。
「離して…!」
そして私は振り返らなかった。ただ前に進んだ…
─そして目の前には、強い明かり。でも眩しくなんかなかった。
…私は、彼に別れを告げて良かったのだろうか。
私は、もちろん良かったと思う。私は、助かったんだから。
─交通事故で意識がなかったあの数日間の間に見た、その夢が忘れられない。
会ったことも見たこともない男性。
もしあの腕を掴まれたままだったら、私はどうなっていたのだろう。
本当に夢なのかと疑うほどリアルだった。
でも見知らぬ彼が私の命を奪おうとはしていなかっただろう。むしろ……感謝するべきかもしれない。
私が腕を振り払った時、彼はつぶやいていた。
「君が帰る気で安心。」
思い出した時、涙が出そうになった。実際に存在する人なのかももちろん分からないが、三途の川というものだろうか。
夢の正体って一体なに。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話