これは僕が実際に体験した話です。
約4年前、工場でバイトをしていました。その工場は第1工場から第3工場まであるそこそこ大きな工場で僕は第3工場で機械の研磨作業をしていました。
ある日僕は夜勤勤務をしていました。
同じラインに正社員1名。派遣社員1名。バイトの僕でラインを流していました。
研磨の作業なんで砥石を使うんですがその砥石がすりへり使えなくなったんで派遣の方と砥石を取りに第2工場にいきました。
部品や工具等はすべて第2工場においてあるので機械を止めて取りにいかなくてはなりませんでした。
その第2工場は夜勤勤務がなく夜7時を過ぎると誰もおらず電気をおとされ真っ暗でした。
ドアを開けて携帯の明かりを頼りに工場の奥へ進みます。
『ガタッ』となにか物音が聞こえました。
僕『…何?』
派遣『なんか音したなぁ…』
僕『猫でも入ってるんすかね?』
工場のまわりは野良猫が多く工場内に迷い込むことが何度かありました。
『カタカタ…ペチャ…』
なにか違和感のある音がしました。
『ペチャ…ペチャ…ガッ』
男の声の様なものがハッキリ聞こえました。
僕『人間の声しましたよね?』
派遣『したな…泥棒か不審者け?』
僕『警備員呼びに行きます?』
派遣『せやな…』
とゆぅ話をしていると機械と機械の間に人の形をした影が浮かび上がった。
立ち上がるようにゆっくりと下の方からにゅっと…
僕『立ちましたね…』
派遣『どぉしよか…俺らで捕まえる?』
僕『マジっすか?』
派遣『けど警備員呼びに行ってたら逃げるかもやで?ほら…なんか歩き出したし。』
影が機械の間から見えなくなった。
僕たちは影をのいた方に進んだ。
すると影はまるで消えていた。
派遣『あれ?おらへんやん。』
僕『どっか隠れましたかね?』
キョロキョロあたりを見回すが見当たらない。
派遣『まぁドア開く音してへんしまだどっかおるな』
たしかにドアが開く音も閉まる音もしていない。入口はひとつ。窓はすべて閉まりセキュリティーがかかっている。
僕『あれ?どっから入ったんすかね?ドアも鍵かかってたし窓も全部閉まってますよね?』
派遣『やな…え?なに?幽霊け?』
僕『いやいや…ないっしょ。』
幽霊とゆぅ言葉を聞いてなんか少し怖くなって急いで砥石をとってドアの方に向った。
『ペチャ…ズズ…ペチャ……ガッ…ズズ…』
ドアまであと少しの所でまた聞こえてきた。
自然と早足になっていた足はピタッと止まってしまった。
ドアの少し右にあの影がいた。こっちを向いているように思えた。
『アァ…ガッ…ガッ…ギギィィィィ…』
肩を左右に揺らしながら影がゆっくりとこちらに近付いて来た。
僕『近付いてきますよ!!』
派遣『ヤバイな…あれ人間ちゃうよな?首がおかしいで!』
ゆっくりと歩く影の頭の部分が安定していなくフラフラカクカクとあっちへこけたりこっちにこけたりしている。
寒気がした。
僕『ヤバイっすよ…逃げましょ!!』
派遣『どっからよ!?出口アレの後ろやん!』
僕『どぉしよ…回り込みます!?』
派遣『しかないな…走るで!』
と言いながら機械の間を通り影の左側から回り込むことにした。
とにかく本気で走った。
『ガッ…ガッ…ペチャ…アァ…』
影がすぐ右側に見えた。
派遣『見んな!!はよ走れ!』
僕は影を見ながらなぜか止まってしまった。
なぜか動けなかった。
目が影から離せなくなっていた。
機械を挟んですぐそこに影が見える。ほんの2~3メートルくらいの所にいる。顔がうっすら見える。
40代くらいのオジサン。
首が右に傾いている。
鼻が潰れて口から血を流している。
僕は凍り付いた様に動けない。
派遣『はよこい!!』
腕をグッとひっぱられ我にかえった。
ドアを開け外に飛び出した。
体に力が入らなくなりその場にへたり込んだ。
僕『なんなんすか…あれ。』
派遣『わからん…けど確実にヤバイやろ。首が…』
といってタバコに火をつけ派遣はだまりこんだ。
しばらくして社員のオッサンが来た。
社員『お前ら何しとんねん!さぼってんのか!!』
派遣『いや…ちゃいますねん…』
と言って今あった出来事を話した。
社員『…とりあえず事務所に入れ。』
と言って事務所へ連れてこられ温かい缶コーヒーをもらった。そして社員のオッサンが喋りはじめた。
社員『あんな…昔あの第2工場でワシのひとつ上の人が死んどるんやわ。天井に電気系統の配線引いとってなぁ…命綱はしとったんやけど、落ちる時に骨組に当たったんやわ。ほんで首が折れとってなぁ…』
その日を境に僕はバイトをヤメました。
派遣の方もヤメたそうです。
おそらくあの影はまだあそにいるんでしょう。
いつか成仏できることを祈っています。
長文駄文失礼しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話