中編3
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夜道の足音

前にも投稿させてもらっているものですが、今回も私が体験した話を投稿させてもらいます。

怖くないうえに長いのですが、自分が体験した気持ちで読んでいただけたら幸いです。

その日は朝から雲っていて

少し肌寒い日でした。

午後から彼女と遊ぶ約束をしていたので、準備をして11時くらいに電車に乗り出かけました。

待ち合わせ場所について、ふたりで買い物をしたりカラオケをしたりと時間は過ぎていき

気がつけば午後11時を過ぎていました。

夜道はぶっそうなので、彼女をマンションまで送り届け

最終の電車に乗り家に帰っていました。

自分の駅につき、歩いて帰っている途中

人通りも街灯もない暗い道に差し掛かったころ

向こう側からコツコツという足音とともに、少し背の低い女の人が歩いてきていて

『こんな時間にぶっそうだな』と思いながら女の人とすれ違いました。

しかし、コツコツという足音は遠ざかるばかりか

後ろにピッタリくっつくような感じで着いてくるのです。

思いきって振り返ると、さっきすれ違った女の人がいました。

かなり驚きましたが、『びっくりしては失礼だ』と思い

平静を装いながら

「なにか用ですか?」と聞くと

小さな声で「道を教えてほしい」と言うのです。

『この辺の人じゃなくて、迷ったのかな』と思い

「いいですよ、どこですか?」と聞くと

「○○ ○○(人の名前)」

それを聞いたとたん、適当な道を教えて足早に家まで帰り

家に着くとスグ彼女に「鍵をして、今日は誰か来ても絶対に居留守をしろ」と電話をしました。

彼女はワケがわからないといった様子でしたが

「わかったよ」と言い、私は安心して眠りにつきました。

その日の夜中3時ごろ

彼女からの電話で起こされました。

電話に出ると、彼女は怯えた様子で

「誰かがチャイムを押してる」と言うのです。

確かに電話ごしに「ピンポン、ピンポン、ピンポン」とチャイムを鳴らす音が聞こえ

「ガチャガチャ」と乱暴にドアノブを回す音も聞こえてきたのです。

『あの女が来たんだ!』

私はそう思いました。

もうお分かりだと思いますが、「○○ ○○」とは彼女のことだったのです。

『デタラメな道を教えたのにどうして?!』そう思いましたが、そんなこと考えている場合じゃありません。

彼女はパニックになっており、なにもできないで泣きじゃくっていました。

家から彼女のところまで遠く、どうすればいいか考えていると

ふと頭の中に1つの考えが浮かびました。

泣きじゃくる彼女をなんとかなだめ、「携帯の音量を上げ、ハンズフリーにしてドアの近くに投げろ」と言うと

怯えながらもドアの方に携帯を投げてくれました。

携帯を投げたのを確認すると「△△ですけど、どちらさまですか?」と電話ごしに言ってみました。

するとチャイムもドアノブも回す音がしなくなり

しばらく静かになったあと、コツコツという足音が遠のいて行くのが聞こえました。

次の日すぐに会いに行くと目は腫れていましたが、彼女に怪我もなにもなくほっとしました。

もし、夜道でコツコツと言う足音が聞こえ、道を聞かれたら

気をつけてください。

あなたの大切な人に危害が及ぶかもしれません。

怖い話投稿:ホラーテラー ゆ○す○さん  

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