短編2
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バス停の女

昔、友人が東京の○井○に住んでいました。

ある夏休み、彼女を訪ねた時のことです。

時間は夕方に差し掛かる頃で、小雨が降って来ていました。

友人とその友人が駅に迎えに来てくれて、

雨が降っているから、近道しようと案内してくれました。

友人の友人、仮にA君としますが、彼はちょっと私を凝視した後、「大丈夫そうだから行こうか」と言いました。

その時は何のことだかさっぱりわからなかったのですが・・・

たわいもないことを話しつつ、

私たちは高い塀にかこまれた、病院前のバス停が見えるところに差し掛かりました。

バス停に女の人が立っていました。

うつむいた感じで立っていて、

傘を持っていないのは自分達もだったし、

夕方だし疲れてるのかなと思って見ていました。

するとA君が、「荷物持ってあげるからあの角まで走って!」

と言いました。

私はさっきからなんだろうこの人、と思いつつ、付き合って走り出しました。

バス停の前を通り過ぎるとき、さっきの女性が目に入ったのですが、

なんかおかしいのです。

夏なのに、襟を立ててトレンチコートを着ている。

変った人もいるんだなあ、さすが東京だ何て思って走りすぎたのですが・・・

角まで走った後は普通に歩いて、友人の家に着いたのですが、

2人がさっきのバス停の女性の事を全く話題にしないので、

「さっき走って通ったバス停にいた女の人、変わってたねえ」

と振ってみました。

するとA君

「・・・見えたの?」と。

「うん、暑いのにコート着てて変わってるなあって思った」

ここでやっとA君が話してくれたのですが、

A君は霊感が強いのだとか。

近道の例のバス停には、

雨の日になると見える女性の霊がいるのだそうです。

つまり、私が、見たのはその霊だったようです。

A君「気がつかないかなと思ったからあの道通ったんだけど;

ごめんね;」と言っていました。

たまたま波長があったのでしょうか?

その後友人が引っ越したので、その町には行っていませんが、

今も雨の日にはああして立っているのでしょうか・・・

怖い話投稿:ホラーテラー うみさん  

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