昔、友人が東京の○井○に住んでいました。
ある夏休み、彼女を訪ねた時のことです。
時間は夕方に差し掛かる頃で、小雨が降って来ていました。
友人とその友人が駅に迎えに来てくれて、
雨が降っているから、近道しようと案内してくれました。
友人の友人、仮にA君としますが、彼はちょっと私を凝視した後、「大丈夫そうだから行こうか」と言いました。
その時は何のことだかさっぱりわからなかったのですが・・・
たわいもないことを話しつつ、
私たちは高い塀にかこまれた、病院前のバス停が見えるところに差し掛かりました。
バス停に女の人が立っていました。
うつむいた感じで立っていて、
傘を持っていないのは自分達もだったし、
夕方だし疲れてるのかなと思って見ていました。
するとA君が、「荷物持ってあげるからあの角まで走って!」
と言いました。
私はさっきからなんだろうこの人、と思いつつ、付き合って走り出しました。
バス停の前を通り過ぎるとき、さっきの女性が目に入ったのですが、
なんかおかしいのです。
夏なのに、襟を立ててトレンチコートを着ている。
変った人もいるんだなあ、さすが東京だ何て思って走りすぎたのですが・・・
角まで走った後は普通に歩いて、友人の家に着いたのですが、
2人がさっきのバス停の女性の事を全く話題にしないので、
「さっき走って通ったバス停にいた女の人、変わってたねえ」
と振ってみました。
するとA君
「・・・見えたの?」と。
「うん、暑いのにコート着てて変わってるなあって思った」
ここでやっとA君が話してくれたのですが、
A君は霊感が強いのだとか。
近道の例のバス停には、
雨の日になると見える女性の霊がいるのだそうです。
つまり、私が、見たのはその霊だったようです。
A君「気がつかないかなと思ったからあの道通ったんだけど;
ごめんね;」と言っていました。
たまたま波長があったのでしょうか?
その後友人が引っ越したので、その町には行っていませんが、
今も雨の日にはああして立っているのでしょうか・・・
怖い話投稿:ホラーテラー うみさん
作者怖話