中編3
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ヤラレタラ、ヤリ返ス…

私が通っていた学校には柄の悪い男子生徒がいる。

煙草吸って、髪を染めて、だらしない制服、体中に刻まれた傷跡。

悪い人たちと絡んでいて、誰もが恐れる存在だった。

そんな中でも一番反抗的だったT君。気に入らない人がいるとすぐに暴力を振るう最低な人間。

暴力を受けた生徒は学校に来なくなり、三ヶ月後に自殺をした。

その事件がこの話の始まりだった――。

――…

私はT君と同じクラス。席も近く、毎日が緊張と恐怖心に襲われている。

授業中。ドアをこじ開けて遅刻してきたT君に先生が怒鳴ったときのこと。

教室の反対側には美術室がある。

その美術室のドアの前に女子生徒が立っていた。

ぼろぼろの制服。破れかけたYシャツ。裸足だった。

腕は傷だらけだ。

それを見た私は、苦しくなった。心臓がつぶされるようになり呼吸ができない。

そのまま、私は気を失った。

――…

目が覚めたとき、目の前には親の姿があった。

病院にいた。

心配そうな母の隣りに父がいて、その隣りには先生がいる。医師はその隣り。看護師さんもいた。

私は二日入院をし、そして学校へと向かった。

あの子は誰だったんだろ。

まだ、あの不気味な少女の姿が頭に描かれている。腕から血を流し、T君を睨んだあの目。忘れることができない。

教室に入ったとき、友人のEちゃんが潤んだ目で私のほうに来た。

「T君、殺されたらしいよ」

息をのんだ。

T君の死。もう校内では噂になっている。あの女子生徒の呪い、だと。

意味もなく暴力を受け、日々苦しんだ女子生徒がT君を呪ったのだ。

美術室…。

私はEちゃんに聞いた。

T君から暴力を受けた子がどこで自殺をしたのか。答えは美術室だった。

あのとき見た少女は亡くなった女子生徒だ。

私は美術室へ向かった。

誰もいない。あの少女に会いたい。会って話がしたい。

成仏されないで、ずっとさ迷い続けてほしくない。そう思っていると、背後にあった棚に何かがこすれ合ったような音がした。

振り返ると、そこにはあの不気味な少女がいた。

「あなたがT君を…」

「ヤラレタラ、ヤリ返ス」

小さな声で言った。

とても淋しそうな声。今にでも私に襲いかかってきそうだ。鋭い目の横には刃物で切り付けられた跡が残っている。

痛々しい傷跡。

どんなにこの子がつらかっただろう。胸が痛くなる。

「あなたがやっていることは、T君と同じだわ!」

「ヤラレタ事ヲ、ヤリ返シタダケ」

「ちがう!人を殺してはだめ。やられたからってやり返したら、そこで憎い人間と同じよ」

彼女に届いてほしい。

つらい思いをしたのはわかる。でも、人を殺してはいけない。

女子生徒は私を虚ろな目で見る。

そして気付いたときには、少女は私の目の前にいた。口元をにやつかせ、青ざめた肌、真っ赤に充血した瞳。

私の首をつかんだ。

机の上に倒れこむ私に少女は言う。

「同ジ目ニ遭ワセナイト、ルール違反」

ルール…?

彼女はさっきよりも強く私の首を握り締めた。

ルールとはなんだ。なんかのゲームなのか。

問いかけたいが声が出ない。苦しい。私もこの子と同じ目に遭ってしまうのだろうか。

私の瞳から涙が出たとき、女子生徒は手を放した。

「泣イテル?」

咳をしながら私は小さくうなずく。

少女は私の頭をなでた。さっきまでとは別人だ。

苦しそうにする私の顔をのぞきこむようにして、女子生徒は私に言った。

「涙ヲ流シタ。私ト同ジ目ニ遭ッタ」

「え…」

「ルール守ッタ」

そう言い残し、少女は何事もなかったかのように姿を消した。

それと同時に先生がやってくる。Eちゃんが心配そうに私のほうへやってきた。

なんだったのだろう。

あれ以来、女子生徒の姿は見えなくなった。成仏されたのかはわからない。

でもあの子はきっと、まだ美術室にいる。なんとなくそう思う。

――…

ヤラレタラ、ヤリ返ス。

ソレガ、ルール。

守ラナクテハ、ナラナイ。

あなたの近くにもいるかもしれない。

:/ JHARD

怖い話投稿:ホラーテラー JHARDさん  

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ネタバレ注意

ただ今より、金融庁検査を行います
よろしくね♪

半沢直樹だなこれw

半沢だ!

いや、10倍返しだぁ!!

やられたらやり返す、倍返しだ!