中編4
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セレモニー

これは、3年前に実際に起こった出来事です。

 

当時、私は中学2年で夏休みになるちょっと前でした。私達の村は、人里離れた山奥にあり、都心部とかなり距離がある場所でした。

 

学校が終わり、帰ろうとしていた時、友達のAが私と、友達のBとCに「ちょっと話があるから、俺ん家に来てくれ。」と言って、4人でAの家に行きました。 

Aの家には誰も居なくて、Aは滅多に見せない深刻な顔でした。この時点で事の深刻さが私とBとCに伝わりました。

 

Aは普段はふざけているのに、そのAが深刻な顔をしているからです。

 

しばらくして、Aが話始めました。「実は昨日、例の家に行ったんだ。」私とBとCは、この一言で、鳥肌がたち、背中に寒気を感じ、体中から汗が出るような感覚にみまわれました。

 

「例の家」とは、村の近くの山にある家で昔、資産家とその家族が4人で暮らしていたそうです。しかしながらその家はそんな単純な物ではないのです。

 

その家にはこの世の物とは思えない「何か」が毎年の6月6日に蠢いているのだそうです。この話はどの家庭でも小学生になると親が話すのが村の義務になっているのです。

 

Aは動揺を隠せない私達に続きを話した。「例の家の門は、固く閉ざされていて、しかもあり得ないほどの御札が家の至る所に貼られていたんだ。でも恐怖よりも好奇心の方が強く、入れそうな所を探したんだ。」

そしてAは「あるもの」を取り出して話を続けた「これが御札だ。」これを聞いた瞬間聞いていた全員が立ち上がって、Aの家から逃げるように帰った。

その夜、「Aが何故御札を持ち帰ったのか」という疑問に悩まされていた。

そしてチャイムが鳴った。両親は留守だったので、自分が出ないといけなかった。玄関に居たのは、Bだった。Bは家が寺なだけあって、4人の中で霊感が一番強く、よく「見える」と言っていた。

Bに訪れた理由を聞くと、Bは語り始めた「Aが見せた御札があるじゃねぇか?」

私は「あぁ、アレはさすがにヤベェんじゃねぇかな」

Bは「ヤベェって問題じゃなくなってきているんだ。とりあえず、俺ん家来てくれ。」そう言ってBの家へ。

Bの父は「B、この子は憑いとらん。大丈夫じゃ。」そう言うと、Bは安心した表情をした。よく見るとCも来ていた。Bの父は「Aについて今から話さんといけん事がある。こころして聞いてくれ。」

そう言うとBの父は語り始めた。「昼間の件Bから聞いたが、Aの事はもう忘れろ。小さい頃からの仲やけど、もうAは何もかもAでなくなる。Aがやった事はそれほどでかい。Aが見せた御札はなぁ、ワシのじいちゃんが作ったもので、人であって人にあらざるものを呼び寄せ、閉じ込め、封じ込めるための物なのじゃ。ワシらみたいな職種の人間が使えば、効果は絶大なんじゃが、一般人の手に渡ると、その人はとんでもない数のモノにとり憑かれるんじゃ。」

Bの父は深いため息をし、「もう一つ話さねばならんことがある。」と言って語り始めた。

「Aが行ったという例の家じゃが、あそこは、元々資産家の家じゃった、というのは知っとるな。ただの家で無いことも。ここからは、お前達の知らん話じゃ。資産家が亡くなった後、村の者が資産家の家に様子を見に行ったんじゃ。すると、資産家を亡くした悲しみから、残された資産家の家族は、ある禁術を使ったんじゃ。」

B父は続けて、語る「その禁術とは、6月6日になるとあの世のとこの世を結ぶ通り道ができる、というかなりヤバいものなんじゃ。

そして一回目の6月6日になった。すると例の家で、物凄い音がして、資産家の家族が変死をとげたんじゃ。これはヤバいと思ったワシのじいさんが御札を245枚作り、家に貼ったんじゃが、それでも御札は足りんかったんじゃ。2回目の6月6日に物凄い音がして、村の近くの山が半分削りとられていたんじゃ。それでじいさんは御札を9775枚つまり、計10000枚御札を家に貼ったところ、奇妙な現象は無くなったんじゃ」

それから、1年後、Aは山で変死を遂げ亡くなっていたのを村長が見つけ、平和な農村に訪れた、悪夢のような暗黒のエナジーは、何処かへ解き放たれ、今日も平和な世界を憎み、暗黒世界に陥れる事を狙って、居るのだろう。また禁術を使う者が現れば、その時こそ、世界に終わりが告げられる事となる。

END

怖い話投稿:ホラーテラー ラクシャスさん  

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